Cd値0.2の超空力ボディ ルーシッド・エアへ試乗 北米の新ブランド 均質化と一線画す革新性

公開 : 2025.03.24 19:05

洗練されたドライブトレイン 少し過剰な819ps

交通量の少ない道で右足へ力を込めれば、エアの速さに言葉を失う。筆者がこれまでに試乗したバッテリーEVの中でも、最速の1台といっていい。ドライブトレインは非常に洗練されており、ゆったり快適な移動も不得意ではない。

圧巻の加速力は、高速道路の速度域を過ぎても衰えない。とはいえ、パワーが制限されるスムーズ・モードでも気持ちが悪くなるほどで、少し過剰かもしれない。人工的なサウンドも、筆者には耳障りに思えた。

ルーシッド・エア・ドリーム・グランドツーリング(欧州仕様)
ルーシッド・エア・ドリーム・グランドツーリング(欧州仕様)

スイフトかスプリント、2つのモードを選ぶと、本来の819psを利用できる。ステアリングとサスペンションも、それに応じて引き締まる。

スプリント・モードを試してみたが、パワフルになる反面、快適性には明らかに陰りが出る様子。スムーズ・モードが、ほとんどの環境に適したエアになる。

市街地での乗り心地は良好。ガラス面積が大きいため視界は広く、ステアリングやペダルの反応は正確で、扱いやすく運転しやすい。ルーシッドが設定した、普段使いに適したサルーンという目標は、充分に達成されている。

意欲的に操り始めると、軽くない車重を実感する。充分に予想しやすい操縦性と反応ながら、つづら折りのカーブを楽しめる特性ではないだろう。少し抑えて滑らかに走らせれば、充足感は低くないものの、テスラモデル3の方が運転の楽しさでは勝る。

高速道路の巡航は静かで快適 電費も優秀

アルミホイールは19インチで、タイヤサイズは245/45。サイドウォールが比較的厚く、乗り心地へプラスに働いていた。路面の凹凸を通過しても、落ち着きが失われたり、粗野な衝撃が車内へ伝わる場面はなかった。

サスペンションの構成は、前後ともダブルウイッシュボーンで、コイルスプリングにアダプティブダンパーという組み合わせ。エアスプリングは、開発中らしい。

ルーシッド・エア・ドリーム・グランドツーリング(欧州仕様)
ルーシッド・エア・ドリーム・グランドツーリング(欧州仕様)

高速道路の巡航は、非常に静かで快適。V12エンジンを積んでいた、メルセデスAMG Sクラスを彷彿とさせるほど。

エネルギー効率は、ルーシッドの主張通り優秀。今回は積極的に320kmほどを走らせたが、駆動用バッテリーの残量は50%と表示されていた。急速充電も300kWとかなり高速。最短21分で、480km走れる電気を蓄えられるという。

エアの英国販売は未定だが、右ハンドル車は予定されておらず、可能性は低い。間もなく登場するSUVのルーシッド・グラビティは、右ハンドルにも対応予定とのこと。

北米価格は、後輪駆動のシングルモーターで430psを発揮し、1度の充電で675km走れるエア・ピュアで6万9990ドル(約1050万円)から。試乗したツインモーターのグランドツーリングは、11万900ドル(約1719万円)へ上昇する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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