【潮目が変わった?】5年ぶりキャデラック国内発表!『リリック』登場で感じたラグジュアリーEV市場の新風

公開 : 2025.03.10 07:05

新しいユーザー層にアプローチできる、またとないチャンス

それにしても、なぜいま、キャデラックは日本を含めたグローバルでEVシフトを加速させているのか? 世間では今、『EV(の普及)は踊り場』と言われることが多いにもかかわらず……。

時計の針を少し戻すと、GMのメアリー・バーラCEO(最高経営責任者)が、次世代グローバルEVプラットフォームとしてアルティウムを初公開したのは、いまから5年前の2020年3月。その後、欧州ではグリーンディール政策において、消費者の意識や需要と規制のバランスが崩れたことで、欧州域内ではEVの過剰供給が問題となった。

アメリカGM本社からグローバル・キャデラック部門のジョン・ロス副社長も参加。
アメリカGM本社からグローバル・キャデラック部門のジョン・ロス副社長も参加。    上野和秀

また、GMのお膝元であるアメリカでもテスラの販売が頭打ちになり、そして第二次トランプ政権発足に伴い、バイデン政権が強く推進してきたIRA(インフレ抑制法)の撤廃を含めた政策転換の議論など、アメリカではEV普及に対する向かい風が吹き出した。

こうした市場動向を鑑み、GMバーラCEOは昨年、EV戦略の見直しを打ち出した。その中で、ブランドによってEVシフトの速度や方向性に特徴を持たせており、キャデラックについては積極的な姿勢を見せている。

背景にあるのは、ラグジュアリー市場におけるEV需要の高まりだ。マス市場(大衆市場)でのEVでは、BYDを筆頭とした中国ブランドの価格競争力が上がっており、またテスラもモデルS/Xから、モデル3/Yへと主力ラインアップを修正してきているところだ。

一方、プレミアムEV市場では、メルセデス・ベンツレクサス、ソニー・ホンダなどが参入しているものの、キャデラックとしてはヘリテージ(歴史)に裏付けられた高いブランド力によって新しいユーザー層にアプローチできる、『またとないチャンス』としてEVシフトを捉えていると言えるだろう。

『伏兵』という表現は、キャデラックに対して大変失礼かもしれないが、日本EV市場において今後、これまではニッチブランドであったキャデラックの存在感が一気に増す可能性を、今回の会見の場で感じた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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