「技術による先進」は控えめ? アウディA6 e-トロン・アバントへ試乗 航続距離480km 

公開 : 2025.03.09 19:05

スポーツバックかアバントを選べる、電動のアウディA6 e-トロン 長距離でも快適なシート 内装の質感に不足なし アウディらしい走りの特徴 航続距離は480km 英編集部が評価

ボディはスポーツバックかアバントの2択

刷新されたアウディA6が、グレートブリテン島へやってきた。右ハンドルで。ところが、エンジン版のA6もドイツ・インゴルシュタットで発表されることが急遽決定した。

そのモデルは、当初A7を名乗る予定だった。しかし長年に渡って親しまれてきたA6を、完全にバッテリーEVへ切り替えることは、ユーザーにもディーラーにも抵抗が大きすぎると判断されたようだ。筆者も、A6 e-トロンがA6らしいとは感じにくい。

アウディA6 e-トロン・アバント・パフォーマンス・エディション1(英国仕様)
アウディA6 e-トロン・アバント・パフォーマンス・エディション1(英国仕様)

A6 e-トロンには、開発の段階で複数のモデル名が提案されていた可能性はある。SUVのQ6 e-トロンと似た雰囲気はあるものの、フロントマスクは両生類のような表情にも見える。長年このブランドを好んできた人が、ひと目惚れする容姿とはいいにくいかも。

それでも、BMW i5やメルセデス・ベンツEQEポルシェタイカンなどと並ぶ電動モデルとして、英国では小さくない支持を集めている。特に上級社員向けの、会社からの貸与車両として。

ボディスタイルは、5ドアのスポーツバックか、ステーションワゴンのアバントから選択できる。空力特性はかなり優秀で、アバントよりスポーツバックの方が勝り、空気抵抗を示すCd値はそれぞれ0.24と0.21がうたわれる。

駆動用モーターは、前輪駆動ではなく後輪駆動で1基、四輪駆動では2基が搭載される。駆動用バッテリーの容量は、75.8kWhか94.9kWhの2種類が用意される。

長距離でも快適なシート 内装の質感に不足なし

プラットフォームは、新開発のPPE。これはQ6 e-トロンにも採用されており、シングルモーター版は後輪駆動がデフォルトとなっている。今後のアウディは、これが標準となるようだ。

最高出力は、後輪駆動の326psと381psに、四輪駆動の462psという3段階。今回試乗したのは後輪駆動の381psで、パフォーマンス・グレードだった。

アウディA6 e-トロン・アバント・パフォーマンス・エディション1(英国仕様)
アウディA6 e-トロン・アバント・パフォーマンス・エディション1(英国仕様)

低く見えるスタイリングとは裏腹に、運転席の位置は高め。アウディは、従来からそこまで低いドライビングポジションを設定してこなかったが。シートの調整域は広く、サポート性に優れ、長距離でも快適に過ごせるだろう。

サイドウインドウは高さ方向に薄く、パノラミックガラスルーフは頭に近い。内装の質感は、従来のアウディほど高水準ではないものの、アッパークラスとして不足はない。

ダッシュボードには、ワイドな大きなパネルが載り、車載機能の殆どは14.5インチのセンター・タッチモニターへ集約されている。ロータリーコントローラーはなく、操作時はモニターを見つめる時間が長め。エアコン操作も画面へ集約されている。

ただし、運転支援システムやドライブモードには、最低限のハードスイッチが用意される。タッチモニターのショートカット・アイコンが便利だ。

サイドミラーは、外部カメラとモニターで賄われるが、画角の調整域は足りないかもしれない。ヘッドアップディスプレイは、車間距離が狭まると赤く光って危険を教えてくれるが、反応が少し過剰に思えた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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