Sクラス譲りのV8エンジン&リアサス メルセデス・ベンツ420SL ヨークシャーを巡る(1)

公開 : 2025.04.06 17:45

連続するカーブを落ち着いて処理する

低木がポツポツと茂り、ヒースの草が風になびく。牧草地に放たれた羊たちが、群がっている。早朝の陽光を浴びながら、V8エンジンの本領を発揮させたいところだが、既に時刻はお昼。交通量は少なくなく、先行車両につっかえ気味だ。

途中で脇道へ曲がる。ここから先は、ルートYCの1つ、ウィットビー・エリアの真骨頂。道は適度にうねり、クルマの数は少ない。ノース・ヨーク・ムーア鉄道の橋梁をくぐる。景色は、つい脇見したくなるほど美しい。

メルセデス・ベンツ420SL(R107/1971〜1989年/英国仕様)
メルセデス・ベンツ420SL(R107/1971〜1989年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

連続するカーブを、420SLは落ち着いて処理していく。リアアクスルは僅かにムズがるが、安定性を失うわけではない。オーバースクエアのV8エンジンを受け止めるのは、ロングレシオの4速ATだが、シフトアップには積極的な様子。

最大トルクが発揮され、響きが転調し始めた直後に、次のギアが選ばれてしまう。ソフトトップを開いて、V8サウンドのシャワーを期待していたが、充分には浴びれない。運転しやすいことは間違いないが、スポーツ度は高くない。

西へ進むと道は平坦になり、直線区間が増えていく。公式なルートYCではないが、ヨークシャー地方に隠れる見事な道を、自ら捜索する価値はあるだろう。沿岸の小さな港町、ステイスからウィットビーへ南下せず、もう少し自由に走ることにした。

国立公園の東にある、ゴースランドには1950年代風のカフェやショップが並んでいる。1992年のTVドラマ、「ハートビート:小さな町に大事件」の舞台になった、谷間の町をゆったり眺める。

19世紀末の建物が街並みを作るウィットビー

初日の宿泊場所は、ウィットビーの手前にあるファームステイ、ザ・ステーブルズ。ドライバーだけでなく、サイクリストにも人気の、旅行者向けの施設といえる。

翌朝、ウィットビーの市街地をさまよってみる。19世紀末、ビクトリア朝時代の建物が街並みを作る。その中心部を流れるエスキモー川沿いには、もっと古い伝統的な漁村が残っている。

メルセデス・ベンツ420SL(R107/1971〜1989年/英国仕様)
メルセデス・ベンツ420SL(R107/1971〜1989年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

海沿いの高台には、ウィットビー修道院の遺跡が佇む。かつてはバイキングに襲撃され、16世紀にはイングランド国王のヘンリー8世に征服された。駐車場へ420SLを停め、かつての修道院へ続く199段の階段を登る。

この海岸線は断崖で、車道は奥まった台地にある。北海を眺めるには、崖の近くまで歩くか、低地の町を探す必要がある。というわけで、ロビンフッド湾を目指す。

ここは、どこを撮影しても絵葉書に使えそうな漁村。クルマがやっとすれ違えるような細い道沿いに、建物がひしめいている。その奥へ、小ぢんまりとした浜辺がある。

海岸沿いは、気持ちが良いだけではない。ヨークシャー地方では、見返りも多いようだ。森の中に続くつづら折りの区間や、ドラマチックな橋梁を運転できる。フォーリング・フォスという名の、滝も眺めることができた。

この続きは、メルセデス・ベンツ420SL ヨークシャーを巡る(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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