へこたれない精神力も欲しい ジャガーXJS 英国版中古車ガイド エレガントな大猫

公開 : 2023.01.12 08:25

1975年から1996年まで生産が続いた、Eタイプの後継モデル。優雅なビッグ・ジャガーの中古車を、英国編集部がご紹介します。

エレガントなビッグジャガー

1975年から1996年まで、20年以上も生産されたジャガーXJS。英国ではTVドラマのリターン・オブ・ザ・セイントやニュー・アベンジャーズに登場し、特別な高級車だというイメージを醸成することに成功していた。

英国の路上でも見かける回数は少なく、出くわすとドラマの見どころと重ね合わせて子供は喜んだものだ。サイモン・テンプラーやマイク・ギャンビットといった、架空のヒーローが悪者を追いかける様子を思い浮かべて。

ジャガーXJS(XJ-S/1975〜1996年/英国仕様)
ジャガーXJS(XJ-S/1975〜1996年/英国仕様)

当初XJ-Sを名乗っていたXJSは、1975年に発売されると賛否両論が入り乱れた。Eタイプの後継モデルとは思えない姿で、かなりの高額だった。オーバーハングは長く、バンパーは大きく、リアデッキには三角のフライングバットレスが1対伸びていた。

物議を醸したスタイリングは、時間の経過とともに受け止められ方が変わったといえる。現在改めて眺めると、エレガントに見えるのは筆者だけではないと思う。ボディサイズに反して狭い車内に納得できれば、ぜひとも乗ってみたいジャガーの1台だ。

当初から搭載されていたエンジンは、5.3Lという大排気量のV型12気筒。最高出力は289psを発揮し、殆ど無音といえる静けさで246km/hという最高速度に到達できた。しなやかな乗り心地は、ハイドロニューマチック搭載のシトロエンにも迫った。

繰り返されたアップデート モデルライフ21年

寿命が長かっただけに、アップデートも繰り返し行われた。1981年にV12エンジンは改良を受け、ハイ・エフィシェンシーの略である5.3 HEへ。点火前に混合気をシリンダー内で対流させ出力を向上し、299psを獲得した。シャシーも手直しを受けている。

1983年には3.6L直列6気筒エンジン、AJ6型ユニットが追加。同じ年にXJ-SCというタルガトップ風のカブリオレが登場している。1988年にルーフの構造が改められ、完全なソフトトップ版のコンバーチブルへ交代した。

ジャガーXJS(XJ-S/1975〜1996年/英国仕様)
ジャガーXJS(XJ-S/1975〜1996年/英国仕様)

リフレッシュのフェイスリフトは1991年。ボディに錆びにくい亜鉛メッキ・スチールが採用され、フェンダーやサイドシル、フロアパンなどが朽ちる心配は低くなった。

改良を受けたスタイリングは上品にまとめられ、横に長いテールライトが特徴といえる。エンジンは、直列6気筒が4.0Lへ変更。V12では5.3Lに加えて、6.0Lが追加された。

モデル晩年となる1994年には、AJ6ユニットでプラグ・オン・コイルを獲得。AJ16型へ名称も改められた。さらにトム・ウォーキンショー・レーシングがチューニングを加えたXJSは、欧州ツーリングカー選手権である程度の戦績を残した。

長く生産が続けられたXJSは、1996年に遥かにモダンなジャガーXKへバトンタッチ。21年間というモデルライフを終えている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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