【ベンチマーク復権!】8.5代目フォルクスワーゲン・ゴルフ『GTI』は、8代目とどう変わったか

公開 : 2025.03.13 11:45

549万8000円はバーゲンプライス

そして私がもっとも気になっていたホイールコントロールについては、足まわりの微振動が気になったことは試乗中、一度もなかった。おそらく、サスペンションのトップマウントの素材を見直すといった、抜本的な対策が施されたのだろう。おかげで、いかにもゴルフらしい、頑丈そうで安心感の強い乗り味を満喫できた。

いっぽうで、ハンドリングはゴルフ8で提示された新しい方向性を継承しているように思えた。かつてのゴルフは、たとえGTIであろうとも安定志向が滅法強く、レスポンスの点では「やや鈍い」と思われても仕方がない側面があった。

スポーティなコクピット。GTIと言えばの、タータンチェック柄シートは健在。
スポーティなコクピット。GTIと言えばの、タータンチェック柄シートは健在。    山本佳吾

それがゴルフ8では大きく見直され、安定したなかにも軽快さも採り入れる方向へと微妙に舵を切っていたのだが、ゴルフ8.5GTIでその傾向がより明確になったように思う。だからといって、ゴルフ伝統の味が完全に否定されてしまったわけはなく、「どっしりとしたなかにも軽やかな操縦感が味わえる」と表現したくなるものに生まれ変わっていたのだ。

これに伴って、乗り心地も、適度な重厚感にくわえて、かすかに弾むような軽やかさが感じられるものへと変化した。ただし、前述したようにホイールコントロールの問題は完全に解消されているので、質感の高い乗り味を楽しめるはずだ。

いまや最高出力が265psに達した2.0リッター・ターボエンジンは、圧倒的なパワーと扱い強さを両立させているだけでなく、相変わらず電光石火のシフトスピードを誇る7速DSGのおかげもあって、このクラスとしては信じられないくらいシャープなレスポンスを実現している。したがって、輸入車の価格が軒並み高騰しているなか、その内容を考えれば549万8000円はバーゲンプライスといって差し支えない。

ゴルフGTIに試乗して、フォルクスワーゲンがかつての良心を取り戻したように感じた。ベンチマークの復権を、心より祝福したい。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTIのスペック

全長×全幅×全高:4295×1790×1465mm
ホイールベース:2620mm
車両重量:1430kg
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
排気量:1984cc
最高出力:195kW(265ps)/5250-6500rpm
最大トルク:370Nm(37.7kg-m)/1600-4500rpm
燃料タンク容量:51L
ギアボックス:7速AT(DSG)
タイヤ:F&R235/35R19
価格:549万8000円

記事に関わった人々

  • 執筆

    大谷達也

    Tatsuya Otani

    1961年生まれ。大学で工学を学んだのち、順調に電機メーカーの研究所に勤務するも、明確に説明できない理由により、某月刊自動車雑誌の編集部員へと転身。そこで20年を過ごした後、またもや明確に説明できない理由により退職し、フリーランスとなる。それから早10数年、いまも路頭に迷わずに済んでいるのは、慈悲深い関係者の皆さまの思し召しであると感謝の毎日を過ごしている。
  • 撮影

    山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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