航続距離「117km」伸延 BMW iX xドライブ45 スポーツへ試乗 小変更 枠を超えた有能さ

公開 : 2025.03.30 19:05

X5よりゆとりのある乗員空間 モダンな内装

インテリアは、発売から数年が経過しても特別な雰囲気。オプションのMスポーツ・パッケージを選択すれば、高級感は通常以上に高まる。

このオプションを指定すると、ステアリングホイールは8角形から円形のリムになり、サポート製の高いスポーツシートが組まれ、天井の内張りが暗めのグレー、アンスラサイトへ変更される。メーター用モニターのグラフィックも、専用になる。

BMW iX xドライブ45 スポーツ(欧州仕様)
BMW iX xドライブ45 スポーツ(欧州仕様)

広々とした車内空間は、従来通り強みの1つ。エンジン版の同等モデル、BMW X5以上に、乗員空間にはゆとりを感じる。フロア部分へ駆動用バッテリーが敷かれ、着座位置は高めだ。

内装のデザインは、コンセプトカーと見間違えそうなほどモダン。それでいて、実用性もちゃんと担保されている。

ただし、サイドシルやセンターコンソールの下側などには、硬いプラスティックがそのまま露出している。全体的な素材感は上質だが、そこだけ相容れない。荷室容量は500Lと、このクラスでは小さい方。メルセデス・ベンツEQE SUVの方が、明らかに広い。

最新版のiドライブは、グラフィックとメニュー構造が改められ、操作性を改善。音声操作機能もアップデートされている。ゲームやビデオストリーミングなど、多くのエンターテインメントにも対応する。

滑らかな加速 素晴らしい操縦性 枠を超えた有能さ

新しいパワートレインの効果は明らか。今回主に試乗したxドライブ45でも、ツインモーターによる最大トルクは71.2kg-mある。2450kgの車重をものともせず、極めて滑らかに、グイグイと速度を乗せていく。

洗練性は従来以上で、走行中の車内は極めて静か。パワートレインはほぼ無音で動作し、風切り音やロードノイズも殆ど聞こえない。本当の静寂の中で、先を急げる。

BMW iX xドライブ45 スポーツ(欧州仕様)
BMW iX xドライブ45 スポーツ(欧州仕様)

回生ブレーキの効きは、クルマ任せ。ドライバーが任意に調整できれば、一層運転する魅力が高まるように思う。

BMWらしく、操縦性も素晴らしい。このクラスの電動SUVでは、最も動的能力に長けたモデルだといっていいだろう。低い重心位置と、入念に煮詰められた減衰特性、高度な四輪駆動システムにより、連続するカーブを鋭くすり抜けられる。

リア側はエアスプリングが標準で、ボディロールを最小限に抑え込みつつ、グリップ力は秀抜。軽めのステアリングホイールを握る手のひらには、不足ない情報も伝わってくる。

それでいて、乗り心地には唸らされる。サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式でリアが5リンク式だが、見事な安定性と衝撃吸収性を両立。一部のライバルのような浮遊感もなく、落ち着いて路面の不整を処理してみせる。

市街地でも高速道路でも、運転体験は好印象。車重を裏切るように、軽快に操れる。それでいて、静かで快適。iXは、単に優れた電動SUVなだけではない。従来の枠を超えた、有能なバッテリーEVだと表現したい。

BMW iX xドライブ45 スポーツ(欧州仕様)のスペック

英国価格:7万5305ポンド(約1468万円)
全長:4953mm
全幅:1967mm
全高:1695mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:5.1秒
航続距離:603km
電費:5.6km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2450kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:94.8kWh
急速充電能力:175kW
最高出力:407ps(システム総合)
最大トルク:71.2kg-m(システム総合)
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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