【現役デザイナーの眼:トヨタ・クラウン・エステート】シンプル? 淡泊? 高級感は健在

公開 : 2025.05.05 08:05

クラウン4車種揃ったことで、思うこと

クラウン・エステートが発売されたことで、クラウン・シリーズの4車種が全て出揃いましたが、ここでどのような方が、どのクラウンを選ぶのかと私なりに考えてみました。

まず『セダン』は、歴代クラウンの価値を継承しているものなので、これまでのクラウンのユーザーも受け入れやすいと思います。グローバル化に伴って幅がかなり拡大されたので、クラウンの美徳であった『日本サイズの高級車』という意味では外れてしまいましたが、それでも端正なFRプロポーションのセダンデザインは、既存ユーザーにも満足出来るものだと思います。

4車種が揃ったクラウン・シリーズ。今後はどのような車種が出るのか、非常に興味深い。
4車種が揃ったクラウン・シリーズ。今後はどのような車種が出るのか、非常に興味深い。
    トヨタ

次に『スポーツ』ですが、これは既存ユーザー以外を取り込むものでしょう。特に年齢が若い方で、比較車種が欧州車やレクサスといった、王道の乗用高級SUVを志向している方は、パッと見で欧州プレミアムブランドと遜色ないプロポーションに魅力を感じる方が多いと思います。

そして今回の『エステート』は、『スポーツ』のユーザーより年齢が高く、しかしアクティブな趣味を持っている今時の大人な方にもってこいだと思います。スポーツより落ち着いていて、しかしセダンより先進的で実用的なデザインは、良いものを知る方にふさわしいクルマでしょう。

最後に『クロスオーバー』ですが、この車だけがいまいち想定ユーザーが見えづらいと私は思います。クーペライクなシルエットと、SUVらしい足回りのデザインは、方向性として明快なのですが、いかんせんニッチな市場なのだと思うからです。ただ、4車種が揃ったことでクラウン・ブランドとしての存在感は一気に増しました。今後の展開にも注目せずにはいられません。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渕野健太郎

    Kentaro Fuchino

    プロダクトデザイナー兼カーデザインジャーナリスト。福岡県出身。日本大学芸術学部卒業後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)にカーデザイナーとして入社。約20年の間に様々な車をデザインする中で、車と社会との関わりをより意識するようになる。主観的になりがちなカーデザインを分かりやすく解説、時には問題定義、さらにはデザイン提案まで行うマルチプレイヤーを目指している。

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