【日本導入が噂されるミニバン】中国の不思議なクルマ?プレミアムBEV『ジーカーMIX』に初試乗
公開 : 2025.05.28 11:05
中国の民営メーカー『ジーリー』が展開するプレミアムBEVブランド、『ジーカー』2025年中の日本上陸が報道されています。まだ具体的な動きは見えてきませんが、中国自動車研究家である加藤ヒロトがミニバン『MIX』に試乗しました。
状況はなかなかに厳しい
中国の民営メーカー『ジーリー』が展開するプレミアムBEVブランド、『ジーカー』。2025年中の日本上陸が報道されているものの、状況はなかなかに厳しいだろう。
ジーカーは元々、2016年にボルボとジーリーの間に誕生した『リンク・アンド・コー』の姉妹ブランドとして2021年にローンチ。現在はシューティングブレーク『001』や高級ミニバン『009』、ラージSUV『7X』など計8車種をラインナップする。

今回は試乗した『MIX』はジーカーが2024年に発売したミニバンだ。サイズは全長4688mm、全幅1995mm、全高1755mm、ホイールベース3008 mmと、ここ数年で中国市場に投入されたどのミニバンよりも小柄なボディを誇る。『全長5メートル超、全幅2メートル超』なミニバンが多い中、ライバルの少ないサイズで投入されたことがMIXにおける最大の特徴だ。
ボディはミニバンらしからぬ、流れるラインを描く丸っこいシルエットを特徴とする。フロントとリアともに左右一体型のライトなのは昨今の中国車のトレンドだ。
これに加え、ジーカーでは『スターゲート』と呼ぶLEDディスプレイ付きヘッドライトがフロントに未来的な印象を加える。ユニット自体は日本の灯火類製造会社『市光工業』が設計したもので、ヘッドライト上部のLED部分にはアニメーションや、好きな模様、文字を表示できる仕様となっている。
あふれ出す数々の斬新な装備
ドアのレイアウトも非常に奇抜だ。右側は前後スライドドア、そして左側はリアがスライドドアという、5枚あるうちの3枚がスライドドアなのである。スライドドア機構は側面のスライドレールをなくしており、キャビンの上部と下部に設けたふたつのアームで1枚のドアを動かす形となる。
Bピラーも完全になくしているため、荷物や人を自由自在に乗せられるだけでなく、柱に邪魔されない広々とした景色も楽しめるのだ。

ドアのレイアウトが特異であれば、シートのレイアウトも特異となる。キャビン内には前後2列、5席のシートが配置されているが、前後列ともに床下の同じシートレールを共有しており、自由自在に前後させることができる。
フロントシートを前まで移動させて折り畳めば広々とした足元空間に便利なテーブルが出現する。逆に両列のシートを目一杯後ろまで下げれば、今度は前の足元に広大な空間が誕生する。フロントシートは電動の回転機構も搭載しているため、アウトドア用途で車外に向けたり、会議や遊びのためにリアシートと対面にしたりすることもできる。
運転席と助手席の間には15インチのセンターディスプレイを搭載、メディアやエアコン、ナビといったすべての操作をこのディスプレイ1枚で完結させている。物理ボタン廃止の徹底ぶりはエアコン送風口のツマミにまで及ぶが、正直に言ってタッチディスプレイでしか風の向きを調整できないのは非常に煩わしく感じた。










