【日本導入が噂されるミニバン】中国の不思議なクルマ?プレミアムBEV『ジーカーMIX』に初試乗

公開 : 2025.05.28 11:05

肝心のドライバビリティはいかに

実際の運転ではとても不思議な印象を覚えた。

ダッシュボードは広いのだが、ボンネットがとても短いので前方視界は優れている。フロントガラスも大きくて見晴らしは良い一方、Bピラーがないために剛性を確保する必要があり、その影響で太いAピラーが2本も視界を遮る。

ダッシュボードは広いのだが、ボンネットがとても短いので前方視界は優れている。
ダッシュボードは広いのだが、ボンネットがとても短いので前方視界は優れている。    加藤ヒロト

左右の確認の際にはとても邪魔なのだが、実際にハンドルを切って右左折や転回をしてみると車体自体はとても小回りが効いてキビキビ曲がる。痒いところに手が届くのか届かないのか、なんとも言いがたい。

出力415hp、トルク440Nmを叩き出す後輪モーターのおかげで、車両重量が2.7トンあってもお構いなしに加速してくれる。その一方で乗り心地は特にリアが酷く、段差や細かい凹凸に乗り上げるたびに結構な突き上げ感を味わう。

これが運転席に座った際は『ちょっと硬いぐらい』という印象で終わるので、前後でかなりの差があるわけだ。

残念なことに販売台数は芳しくなく、月間販売台数は発売以来平均289台という悲惨ぶり。MIXは容量76 kWhバッテリーモデル(CLTC航続距離550 km)が27万9900元(約556万9000円)、102 kWhモデル(CLTC航続距離702 km)が29万9900元(約596万7000円)と割高で、ファミリー需要は到底期待できない。一方でビジネスや要人送迎用途には車格が小さすぎるので、どちらにも見合っていない車種なのだ。

どの車種もデザインは良くて質感も高いジーカーだが、『売れている車種』と『売れていない車種』がはっきりと別れており、ブランド全体の販売台数は不安定な傾向を感じる。日本に進出しようとしているらしいが、正直に言って知名度がまったくのゼロ。そして価格も中国より高くなるはずのBEVが上手くやっていけるかはなはだ疑問だ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    加藤ヒロト

    Hiroto Kato

    山口県下関市生まれ、横浜在住。慶應義塾大学環境情報学部に在学するかたわら、各自動車メディアにて「中国車研究家」として中国の自動車事情について「クルマ好き」の視点で多様な記事を執筆する。また、自費出版で中国モーターショーのレポート本「中国自動車ガイドブック」シリーズも手掛けている。愛車は1998年型トヨタ カレンと1985年型トヨタ カリーナED。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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