開発中のEV版『BMW M3』はガソリン版の「天敵」 4モーターと本物の空力デザインで勝負 合成エンジン音は採用せず

公開 : 2026.07.29 07:25

BMW M部門責任者のフランク・ファン・ミール氏は、開発中のEV版『M3』はガソリン版の「天敵」になると語っています。強力な4基のモーターを搭載しますが、パワーよりもドライバーの運転体験を追求しているとのこと。

ガソリン版とEV版の切磋琢磨

BMWはEV版『M3』という「天敵」を自ら生み出した、とM部門責任者のフランク・ファン・ミール氏は語っている。既存の顧客もEVの優れたダイナミクスに惹かれて、ガソリンモデルから乗り換えると見込んでいるのだ。

新型『i3』から派生した新型M3は、先月公開された『Mコンセプト・ノイエ・クラッセ』で見られるように、M部門の伝統を反映した力強いデザインを特徴とする。

BMW Mコンセプト・ノイエ・クラッセ
BMW Mコンセプト・ノイエ・クラッセ

しかし、このEVは内燃機関を搭載した新型M3と並行して販売される予定だ。そのターボチャージャー付き3.0L直列6気筒エンジンは、現行モデルの出力(510ps)を維持したままユーロ7排出ガス規制を満たすよう改良されている。

グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでAUTOCARの取材に応じたファン・ミール氏は次のように語った。

「今、BMW Mは自分たち自身と戦っています。なぜなら、フル電動M3によって、自社のベストセラー製品に挑んでいるからです。次世代の(ガソリンエンジン搭載)M3の開発も進めていますが、今は社内で激しく競い合っています。2つの異なるパワートレインで切磋琢磨しており、素晴らしい競争です」

パワーアップよりも「制御」を重視

EV版M3で鍵となるのは、4基のモーターだ。しかし、単に最高出力や最大トルクを追求するのではなく、車体の安定性と俊敏性を高め、運転の没入感をさらに高めることを目指している。

「単にパワーを増やすことは重要ではありません。結局のところ、そのパワーをすべて路面に伝えることなどできないからです。すべての車輪に十分なパワーが必要なため4基の電気モーターを採用していますが、同時にフル稼働させることは決してないでしょう」

BMWビジョン・ドライビング・エクスペリエンス
BMWビジョン・ドライビング・エクスペリエンス

将来のMモデルの性能を予見させたプロトタイプ『BMWビジョン・ドライビング・エクスペリエンス』は1000ps以上の出力を誇ったが、ファン・ミール氏は、公道では「1000psも必要ありません」と述べた。

「キックボクサーのようなものです。両足で同時に蹴ることはありません。強い腕と強い脚を持っていても、すべて同時に使うことはないのです。4基の電気モーターについても同じことが言えます」

M部門は「ハート・オブ・ジョイ」と呼ばれるコンピューターによって4基のモーターを制御し、その利点を引き出すことを目指している。

「この技術でできることは驚くべきものです。敏捷性や安定性を高めることができます。これは車両ダイナミクスの新時代です」

「制御がなければパワーは意味を成しません。もちろん(高性能車には)大出力が必要ですが、同時にそのパワーを制御しなければなりません。ただ莫大なパワーを放出するだけでは、ターマックに4本のスリップマークを残すだけです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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