フォードとジーリーが提携、欧州で新型車生産へ マルチエネルギークロスオーバーなど複数車種を展開 中国EV技術にも着目

公開 : 2026.07.29 07:05

フォードは欧州向けの新型マルチエネルギークロスオーバーの生産で、ジーリー(吉利汽車)と提携しました。スペイン・バレンシア工場で複数の新型車を生産し、技術共有や事業展開で協力関係を深める方針です。

スペインの工場設備を活用

フォードの新型マルチエネルギー車と、ジーリー(吉利汽車)の電動SUVがスペインのバレンシアで生産されることになった。両社の新たな提携により、フォードが50年前に開設したバレンシア工場の運営を引き継ぐ合弁会社が設立される。

来年、正式に承認が得られれば、フォードは新会社の株式の66%を、中国のジーリーは34%を保有することになる。同工場の年間生産能力の上限である約50万台をフル活用することが目標であり、欧州フォードのジム・バウムビック社長によれば、従業員を追加で採用するという。

フォードとジーリーが欧州事業で新たな提携を結んだ。
フォードとジーリーが欧州事業で新たな提携を結んだ。

2028年に新型クロスオーバー投入

現在、バレンシア工場で生産されているモデルはフォードのSUV『クーガ』のみだが、2029年までに4車種の新型車が加わる予定だ。その1つが、2028年に登場予定の欧州市場向けSUV『ブロンコ』で、クーガと同じC2プラットフォームを採用するとみられている。

また、フォードとジーリーが共同開発するマルチエネルギー対応の「ファミリークロスオーバー」も2028年に登場する予定だ。バウムビック氏は、この新型車を「Cセグメントのラリー由来のクロスオーバー」と表現している。

スペインのバレンシア工場で生産されているフォード・クーガ
スペインのバレンシア工場で生産されているフォード・クーガ

このクロスオーバーがどのプラットフォームをベースにするかはまだ明らかにされていないが、単なるバッジエンジニアリング車にはならないという。

「フォードの製品は完全に独自のモデルとなります。単に外観を変更するだけではありません。退屈なクルマは作りません。完全に独自設計された、紛れもないフォード車であり、ジーリーの製品とは一線を画すものです」とバウムビック氏は強調した。

ブロンコとこのクロスオーバーは、欧州フォードが2029年までに発売を予定している、ラリーにインスパイアされた5つの新型車のうちの2つだ。これに加え、ルノーが生産する2車種の小型EVと、別のマルチエネルギークロスオーバーも投入する。

現地化するジーリー、2車種を生産へ

ジーリーはグローバル展開計画の一環として、バレンシア工場で2種類の電動SUVを生産する予定だ。生産開始は2028年と見込まれている。ジーリーブランドのモデルが欧州で生産されるのは今回が初めてとなるが、グループ傘下のボルボロータス、LEVCなどを通して、欧州での生産経験を有している。

ジーリーの上級副社長、ビクター・ヤン氏は、スペインでどのモデルが生産されるかについては明言を避けつつ、次のように述べた。

ジーリーブランドから欧州で販売されているEX5
ジーリーブランドから欧州で販売されているEX5

「当社は常に、欧州に根を下ろすためには、欧州の一部にならなければならないと考えてきました。当社にとってそれは、現地化と、当社の専門知識をバレンシア工場の世界最高水準の伝統と融合させる長期的な取り組みを意味します」

「当社は、欧州の産業的卓越性に対する信念をさらに強めています。単に販売するためだけではなく、現地の人材に投資し、サプライチェーンを強化し、フォードと協力して、欧州のお客様が求めているマルチエネルギーソリューションを提供するためにここにいるのです」

ヤン氏はジーリーの目標として、約5年以内に欧州市場での販売台数の3分の1から半分を欧州で生産することを挙げた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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