【映画公開40年で人気再熱】購入から34年!日本一乗っている『デロリアンの匠』に聞く、欲しい人に知って欲しいこと

公開 : 2025.05.31 11:45

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』1作目公開から40年。映画の主役ともいえる『デロリアン』の人気も価格もますます高まっています。そこで、購入から34年という『デロリアンの匠』こと、橋本達也さんに加藤久美子が話を聞きました。

『極上』のデロリアンに注意?

1985年の映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』1作目公開から、今年はちょうど40年。今春からスタートした劇団四季の公演チケットも年内は完売。映画の主役ともいえる『デロリアン』の人気も価格もますます高まっている。

そこで、デロリアンが欲しい! という人がまず知っておきたいことを、デロリアン歴34年、幾多のデロリアン・オーナーを救ってきた『デロリアンの匠』こと、橋本達也さん(デロリアンオーナーズクラブ副会長)に話を聞いた。

左が橋本さんのデロリアンで、右は以前AUTOCAR JAPANで記事化した完コピタイムマシン。
左が橋本さんのデロリアンで、右は以前AUTOCAR JAPANで記事化した完コピタイムマシン。    加藤久美子

―デロリアンが欲しい! という人がまず、気を付けることを教えてください。

「現状、程度の良し悪しを選べるほどの台数が流通しているとは言えませんので、買える価格で希望の仕様が見つかったら、骨格の腐食の有無とエンジンがかかるかを確認して購入し、整備できるショップに直ぐに送り込むくらいしか出来ないかと思います。

下を覗いてグレーのフレーム部分に割れや腐食が有ると、修理できないこともあるので取り敢えず交換のきかない主要な構造だけは確認必須です」

―時々、『極上のデロリアン発見!』みたいな個体が出てきます。これは『買い!』でしょうか?

「距離少な目、外観が綺麗な『極上車』はたまに見かけますが、注意が必要です。デロリアンはたった1車種でメーカーの息の根を止めた欠陥車です(笑)。

低走行の場合はダメな部分が温存されている走る地雷原状態かも知れませんし、40年間運動もせずに引きこもっていた人が運動場に引き出された状態かも知れません。

飾るのではなく乗るつもりなら、走っていたデロリアンの方が走るための手直しを受けているので安心感が若干増します」

デロリアンのトラブルポイントは?

―デロリアンに関する一番良い情報収集はどんな方法でしょうか?

「機械は動かしてなんぼですので、定期的に乗って走らせることだと思います。実際、私のデロリアンは恐らく日本一走行距離を伸ばしていますが、劣化による破損を除く原因不明の不調はほとんど起きていません。

同じく橋本さんのデロリアンと、完コピタイムマシンとの2ショット。
同じく橋本さんのデロリアンと、完コピタイムマシンとの2ショット。    加藤久美子

情報源としては、フェイスブックでのオーナーズクラブや海外のグループもありますので、そちらでも質問等出来ます。現在は廃盤になってしまっていますが、アメリカで出版されたバイヤーズガイド(購入時ガイドブック)の、オーナーズクラブ会長(下原修氏)による日本語訳版も、購入時の注意ポイントを押さえるには良いと思います」

―デロリアンならでは? のトラブルポイントを教えてください。

「電装は40年前から軒下に放置された昭和の家電です。外装こそ流し台と同じステンレスですが、骨格は鉄で錆びやすく、各種ゴム類のアフターパーツは国産車と違って品質は良くなく交換したから安心とは行きません。私が今まで遭った酷い目を語るには、いくらあっても時間が足りません(笑)」

―デロリアンのパーツはどうやって入手すればよいでしょうか?

「ネット全盛の世の中は、パーツを購入するには素晴らしく、アメリカやイギリスからスマホで買えてしまいます。ただし、先に記した様に品質は良し悪しがあり、40年前に劣る現行品も少なくありません。

持っておけば良いパーツについては、RPMリレー、その他リレー、ベルト、プラグ、燃料ポンプ、クラッチのシリンダー、ブレーキマスター等がありますが、ご自身やご近所で交換できる環境にあるかどうかによっては、持ち腐れになってしまう可能性も有ります。

配線図、整備書、パーツリストを持っていれば、自身で手が出せない場合にも直してもらえる可能性が上がります」

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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