スズキのBセグメントSUV『eビターラ』は初のEVとして乗りたい(後編) エンジニアに訊く「らしさ」とは

公開 : 2026.02.02 12:10

スズキのBEV世界戦略車第一弾となる、BセグメントSUVの『eビターラ』。先日日本仕様が正式に発売され、その公道試乗会に参加しました。後編では、乗って気になったことを篠原政明がエンジニアに直接聞いてみました。

4WDのほうが2WDより乗り心地がいい?

スズキ初の量産バッテリー電気自動車(BEV)『eビターラ』。インドのグジャラート工場で生産され、日本仕様は今年1月16日から発売が開始。この度、メディアに向けた試乗会が開催された。

そこで短時間ではあったが2WD(FF)と4WDの両方に試乗して、「おやっ?」と思った点があった。それは良い意味でも悪い意味でもあるのだが、そのあたりについて開発者に直接、話を伺ってみることにした。

スズキ初の量産バッテリー電気自動車(BEV)『eビターラ』。
スズキ初の量産バッテリー電気自動車(BEV)『eビターラ』。    平井大介

まず気になったのは、2WDと4WDで乗り味が結構違うことだ。

パワースペックでは、2WDが1モーターで最高出力128kW/193Nmを発生するのに対し、4WDは2モーターの合計で135kW/307Nmと、結構パワー差がある。とはいえ2WDの1790kgに対し4WDは1890kgと、車両重量は100kg重いので、普通に走っている限りは4WDがすごくパワフルとは感じない。

むしろ違いは、不整路面のいなし方や振動、乗り心地の良さにあった。その違いは、どこにあるのか。このあたりをスズキの四輪車両運動設計部サスペンション設計課の神野紘二主幹に尋ねてみた。

リアはマルチリンク式サスペンションを採用

今回、多くのメディアから同様の感想を得られたとのことだが、サスペンションの形式は2WD/4WDとも同じ、前はマクファーソンストラット式、後ろはマルチリンク式。ただし、ダンパーやコイルばねの定数は4WDの車重増加に合わせて高く設定しているという。

また、4WDのみリアにスタビライザーを装着している。乗り味の違いは、このあたりにあるのかもしれない。もちろん、2WDの乗り味が悪いというのではなく、4WDのほうがより良いという印象だ。

サスペンション形式は、フロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式。
サスペンション形式は、フロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式。    平井大介

やはりポイントとなるのは、これまでキザシなど一部車種にしか採用したことのないという、マルチリンク式リアサスペンションだろう。神野氏も大きなチャレンジだったと振り返っている。

これにより、前後方向は柔らかく、横方向は硬めのセッティングで乗り心地と操縦性を両立したという。コストはかかるが、そこは乗り味にこだわったというわけだ。

イージードライブペダル減速度切り替え

そしてひとつ、「おやっ?」と思った点は、運転中の操作性についてだ。

eビターラは、アクセルペダルの操作だけで加減速をコントロールできる『イージードライブペダル(いわゆるワンペダル)』機能を備えている。オンオフのスイッチはシフトダイヤルの左にあって操作しやすいが、オン時における3段階の減速度切り替えは、センターダッシュのタッチスクリーンで階層を下げていかないと設定できないのだ。

左上が『イージードライブペダル』のオンオフスイッチ。
左上が『イージードライブペダル』のオンオフスイッチ。    平井大介

これに関しては、四輪EV/HEV駆動設計部トランスアクスル課の伊藤考人係長に伺った。

同氏によると、エンジン車から初めて電動車に乗り換えた人が回生に慣れてもらうための設定として、ステアリングにパドルを装着して頻繁に回生の度合いを変えるのではなく、あえてすぐに切り替えられないよう、このような設定にしたという。

このあたりはEV初心者に向けたスズキの心配りと言えるが、個人的には残念なところ。BEVやHEVのような電動車では、減速時に回生ブレーキをうまく使うのが航続距離や燃費を伸ばすポイント。その回生の度合いをうまくコントロールするのも、電動車でのファントゥドライブでもあるのだ。

初心者にはこの設定でも良いかもしれないが、電動車の運転経験者やeビターラを所有して長く乗っていると気になるかもしれない。今後、要望があればマイナーチェンジなどで対応していきたいとのことだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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