プジョーがやらなければ誰がやる? 新CEOによるブランド強化計画(前編) 技術革新とGTi復活

公開 : 2026.02.02 11:25

昨年就任したプジョーのアラン・ファヴェCEOは、激動の時代を乗り切るためにブランドの大幅強化を図っています。目指すは「上級量販ブランド」としての地位確立と技術革新。個性的なデザインとダイナミクスで販売を拡大します。

歴史あるブランドを新しいステージへ

プジョーは長年、スタイリッシュで運転が実に楽しいクルマを、驚くほど手頃な価格で作るメーカーとして名を馳せてきた。世界中に熱心なファンを数多く抱える、人々に愛されるブランドだった。

しかし、過去20年間で、徐々にその輝きを失っているように見える。世界最高峰のクルマをショールームに並べていた時代は幕を閉じ、『307』、『1007』、『207 CC』といったモデルは英雄的な地位を築くことができなかった。信頼性の課題や、ドライビング・ダイナミクスの方向性の転換なども重なり、その姿は大きく変わっていった。

昨年末公開された『ポリゴン』コンセプト
昨年末公開された『ポリゴン』コンセプト    プジョー

提携していたシトロエンとの共通化も進み、2021年以降はステランティスに統合され、今や欧州で9つのブランドとプラットフォームやパワートレインを共有するようになった。

現在のプジョーのラインナップは、最も人気のあるセグメントに的を絞っている。販売は好調で商業的見通しは明るい。しかし、プジョーは今なお愛されるブランドなのだろうか?

この「物憂げな獅子」を誇らしい未来へと導く役割を担うのは、昨年2月にトップに任命されたアラン・ファヴェ氏だ。

これは経営幹部としては非常に難しい仕事と言える。プジョーは欧州で最もポピュラーなブランドの1つであるだけでなく、世界で最も古い歴史を持つ自動車メーカーの1つでもあるからだ。

これほどの重責を担うことに気後れはしないのだろうか?

「気後れはまったくありません」とファヴェ氏は答える。「ですが、世界中に大勢いるファンに対する責任は感じています」

自動車業界で積んだ多彩なキャリア

ファヴェ氏はプジョー入社前、欧州モビリティサービス大手ヨーロッパカーのCEOを約1年半務めていた。それ以前にはベントレーで2年間、販売・マーケティング部門を統括。さらにその前にはチェコのスコダで4年間、同様の部門を率いていた。もっと遡れば、販売代理店大手ポルシェ・ホールディングのCEOを務めたほか、フォルクスワーゲンにも在籍経験がある。シトロエンでは実に20年間に及ぶキャリアを積んでいる。

この多彩な経歴が、この激動の時代にプジョーの基盤を強化するという任務において大いに役立つはずだ。

プジョーブランドを率いるアラン・ファヴェCEO
プジョーブランドを率いるアラン・ファヴェCEO

「さまざまなブランドで得た多様な経験が今、プジョーでの職務に活かされています。それぞれのブランドには固有の強みがありました。わたしはそれらを未来のプジョーに再現しようとしています」とファヴェ氏は言う。

とはいえ、スコダのような低価格路線に走ったり、高級クーペを投入してベントレーの頭を悩ませたりするわけではない。

ファヴェ氏がこれまでのブランド(それがどれほど異質で個性的なものであったにしても)で得た学びは、現在の姿勢に間違いなく反映されているだろう。

「どのブランドもまったく異なっていました。スコダは広い心と長い歴史、多くの技術を持つ素晴らしいブランドでした。そしてベントレーは、クルマへのアプローチ方法がまったく異なるラグジュアリーセグメントでした」

こうした経験がプジョーでどう活かされるかはまだ明らかではないが、最近発表されたコンセプトカー『ポリゴン』は、ブランドの未来を形作る上での意思表明となっている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

プジョー新CEOによるブランド強化計画の前後関係

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