際立つ個性で勝負 プジョー新CEOによるブランド強化計画(後編) 目指すはアッパーメインストリーム

公開 : 2026.02.02 11:45

昨年就任したプジョーのアラン・ファヴェCEOは、激動の時代を乗り切るためにブランドの大幅強化を図っています。目指すは「上級量販ブランド」としての地位確立と技術革新。個性的なデザインとダイナミクスで販売を拡大します。

プレミアムと量販の両立とは

技術革新やファンへの配慮を重視したとしても、これまで苦労して築いた商業的成功を犠牲にすることはない。現在、プジョーは欧州におけるステランティス全体の販売のうち40%を占め、5.6%という驚異的な市場シェアを獲得している。欧州トップクラスの成績であり、2030年までには7%の達成を目指す。

プジョーは確固たる量販ブランドであり、さらにその地位を強化しようとしている。しかし、シトロエンフィアットオペル/ヴォグゾールといった兄弟ブランドとの差別化を図るため、プレミアム志向も重視する。

プジョーはアッパーメインストリーム(上級量販ブランド)を目指すという。
プジョーはアッパーメインストリーム(上級量販ブランド)を目指すという。

この一見相反する2つの概念をどう実現するのかという質問に対し、ファヴェ氏は次のように答えた。

「両立します。確かに、プジョーはアッパーメインストリーム(上級の量販ブランド)を目指しますが、同時にメインストリーム(量販ブランド)でもあります。つまり、すべての層にクルマを売りたいのです」

難しい課題だ。憧れとなるプレミアムな要素を強めつつ、手頃な価格帯を維持し、さらに先進的な技術や機能を投入していく……。これらを同時に達成できるのだろうか? そして競争が激化する市場環境の中で、魅力的で個性的なクルマを普及させることなど本当にできるのだろうか?

伝統活かして「プジョーらしさ」を追求

これを実現するためには、200年以上前にコーヒーグラインダーや鋸の製造を始めたプジョーのブランドポジションを、これまで以上に強固なものにする必要がある。

ファヴェ氏は臆することなくこう語る。

取材に応じるプジョーのアラン・ファヴェCEO(左)
取材に応じるプジョーのアラン・ファヴェCEO(左)    AUTOCAR

「それがCEOとしてのわたしの使命です。このブランドを10年後、20年後に今日よりも確実に強くすること。そのために、まずはブランドのポジショニングを明確にし、競合他社との差別化を図らなければなりません。競争は日々激化し、以前より厳しくなっています。だからこそプジョーの持つ歴史は大きな強みとなります」

簡潔に言えば、ファヴェ氏はこれまで以上に「プジョーらしさ」を追求すべきだと示唆している。つまり、ユニークで面白い、特別感のあるクルマを作り、ライバルをリードして、真の個性を育む必要があるというのだ。

ファヴェ氏は今後活用していく強みとして、「プジョーは素晴らしいドライビング感覚を体現しています」と強調するが、それは数ある要素の1つに過ぎない。

プジョーのファンが求めているもの

「プジョーは『長く使えるデザイン』の代名詞でもあります。ですから、製品とサービスの質の高さを追求していきたい。そして、プジョーは際立ったデザインを体現しており、わたし達はこれを『フレンチ・カリスマ』と呼んでいます」

ファヴェ氏によると、プジョーはフランスブランドとしての伝統を、より一層個性的な内外装デザインを通じて際立たせていく方針だという。それに合わせ、ドライビング特性も磨いていく。

プジョーは独特のドライビング、クオリティ、スタイリングを併せ持つブランドだという。
プジョーは独特のドライビング、クオリティ、スタイリングを併せ持つブランドだという。

「独特のドライビング感覚、独特のクオリティ、そして独特のスタイリングを併せ持つブランドはプジョーだけだと考えています。プジョー以外にこの組み合わせを実現しているブランドはありません。これがブランドポジショニングと競合他社との差別化に寄与するのです」

安全策を取り、現状維持に徹する時代は過去のものとなったようだ。しかし、それはファヴェ氏が掲げる「メインストリームへの訴求力強化」と「市場シェア拡大」という野心とどう整合するのか?

「目標は市場シェア7%の獲得です。たとえ市場の93%が別のものを求めても、それで構いません」と彼は答えた。

「プジョーのターゲット層は、単なる移動手段以上のものを求めるお客様です。彼らは他とは違う、魅力的なデザイン、特別なドライビング感覚、そして高いクオリティを求めています。それは万人に好まれるものではないかもしれませんが、それでも構いません。7%の人が愛してくれれば、それでいいのです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

プジョー新CEOによるブランド強化計画の前後関係

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