スズキSX4 S-CROSS

公開 : 2015.03.24 23:30  更新 : 2022.12.12 21:30

■どんなクルマ?

小型クロスオーバー、SX4の2代目。S-CROSSというサブ・ネームが新たについて、BからCセグメントに移行した。ハンガリー工場で2013年8月から生産が始まっている。同年12月には中国でも生産開始となり、地球規模では年産15万台を数える。じつはワールド・カーなのだ。その右ハンドルが日本にもハンガリーから輸入されることになったのは、軽からステップアップするファミリー・カーが欲しい、というスズキストの声に応えるためだ。

それにしても、こういうシブいヒットの積み重ねで得点を重ね、いまや売り上げ3兆円に達しようという “中小企業” スズキ自動車の真骨頂ともいえる、ありそうでないニッチ・モデルである。ジムニーエスクード等、小さなSUV自体、スズキの発明品と呼ぶこともできるのではないか。

ボディ・サイズは全長4300×全幅1765×全高1575mm、ホイールベース2600mmと、初代よりホイールベースが100mm、全長は150mm延ばされた。戦略的にサブ・コンパクトから欧州最大のマーケットであるコンパクトに転じたわけである。機械的にはスイフトとの兄弟関係を解消、昨年のパリ・サロンでデビューした新型ビターラと共用するプラットフォームに一新している。日本名エスクードを名乗ることになるこれは、本年7月以降に本邦でも発売となる。

本格SUVのファミリーとなることで、オフロード能力は大きく上がった、と見るべきだろう。サスペンションのフレーム断面の高さが初代SX4の4倍にもなり、横剛性を70%も向上させているのは、乗用車のスイフトと4WDのビターラとの違いともいえる。サイズが大きくなり、剛性アップを果たしつつ、高張力鋼板の多用で、先代SX4の2WD車に較べ50kgの軽量化を達成している。時代の要請とはいえ、エンジニアの腕のふるいどころであったに違いない。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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