吐き気誘う646psの加速力 スマート#5 ブラバス(2) 価格は高く航続距離は短く、選ぶ理由は少ない?

公開 : 2026.01.29 18:10

新生スマートの旗振り役となる#5 航続距離は94kWhで589km  最大426kWの急速充電 #1より定まったデザイン的な独自性 ブラバスは総合646ps カーブでの優れた安定性 UK編集部が試乗

予想しやすいパワー上昇 339psでも充分強力

新生スマートの旗振り役を担う、#5。シングルモーターで339psのプロと、ツインモーターで646psのブラバスを試乗したが、AUTOCARとしては前者を推したい。

ファミリーSUVに、ランボルギーニウルス級の大パワーを求める人は少ないはず。確かにアクセルペダルを蹴飛ばせば、信号ダッシュでBMW M3を凌駕する加速を楽しめ、その勢いは吐き気を誘うほど。そのかわり、価格が高く航続距離は短くなる。

スマート#5 ブラバス(英国仕様)
スマート#5 ブラバス(英国仕様)

コンフォート・モードなら後輪駆動となり、穏やかな#5と同等の、落ち着いた移動もできる。発進加速のパワー上昇は線形的で予想しやすく、非常にスムーズ。それでいて、高速道路の追い越し車線でも、不満ないパワーを即座に展開できる。

他方、339psのプロは#5で1番非力ながら、力強さは充分以上。0-100km/h加速は6.9秒でこなし、滑らかに速度を高め、プレミアム感も同等に備わる。後輪駆動で、濡れた路面ではトラクション・コントロールのお世話になるが。

驚くほどのヘアピンカーブでの安定性

重く大きな電動SUVながら、操縦性は優れる。ブラバス仕様でも#5がワインディングのヒーローになることはないとしても、ヘアピンカーブでの安定性は驚くほど。ピタリとラインを保持し、ボディロールも想像以上に小さい。

コンフォート・モード時のステアリングは、かなりスロー。スポーツではクイックに転じ、適度に重く、意図通り正確にボディを導ける。カーブで気張りすぎると、スタビリティ・コントロールが即座に介入。アンダーステアが抑え込まれる。

スマート#5 ブラバス(英国仕様)
スマート#5 ブラバス(英国仕様)

ブラバスが履く21インチ・ホイールでも、乗り心地はしなやか。石畳や舗装のつぎはぎなどを静かにいなし、強い衝撃が車内へ届くことはなかった。

とはいえ、バランスに優れるのはプロの方。後輪駆動らしく素直で、意欲的な走りを味わえる。軽くない車重を支えるべく、サスペンションは引き締められているはずだが、快適性も褒められる。

航続距離は94.0kWhのプロ+で589km

#5の価格は、英国では4万3800ポンド(約911万円)から。そのプロ・グレードの航続距離は、463kmが主張される。価格を踏まえると物足りない距離かもしれないが、充分に速く装備も充実している。

最も訴求力の高いグレードは、ベースグレードの1つ上、プロ+といえそうだ。94.0kWhの駆動用バッテリーに363psのシングルモーターという組み合わせの後輪駆動で、最大400kW以上の急速充電に対応する。

スマート#5 ブラバス(英国仕様)
スマート#5 ブラバス(英国仕様)

ツインモーターの最強仕様、四輪駆動のブラバスは5万1800ポンド(約1077万円)。航続距離はプロ+の589kmに対し、539kmへ短くなる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 執筆

    スティーブン・ドビー

    Stephen Dobie

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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