アウディ次期A4、新デザイン『ラディカル・ネクスト』採用 2028年投入か

公開 : 2025.10.08 17:45

リビアンの技術を採用

SSPはそうした基本的な性能だけでなく、車載コンピューターの性能も飛躍的に向上させる。アウディは、フォルクスワーゲン・グループの技術パートナーであるリビアン(米国の新興EVメーカー)が開発したソフトウェアスタックを、このSSP車に採用する方針だ。

2027年発売予定のフォルクスワーゲンID.1が、リビアンの技術を採用する同グループ初の量産車となる。しかし、アウディはリビアンとの共同開発による完全なソフトウェアアーキテクチャーを搭載した車両を市場投入する。EV版A4もその1つとなる可能性が高い。

アウディはソフトウェア中心の車両開発を推進する。(画像はコンセプトC)
アウディはソフトウェア中心の車両開発を推進する。(画像はコンセプトC)    アウディ

デルナー氏は「機能性に関してアウディは最高水準を追求する」と語っている。さらに、この新技術がもたらす効率化と簡素化は、アウディが求める明確かつシンプルな運営にもつながるだろう。

「市場投入は2028年になるでしょう。リビアンとフォルクスワーゲンの合弁会社と緊密に連携し、現在プロトタイプを製作中で、集中的に共同作業を進めています。最初のモデルはすでに開発段階にあります」とデルナー氏はAUTOCARに説明した。

同氏はまた、この新技術をセグメントの異なる2車種の新型車に導入することを明らかにした。「その後、これら2車種を起点に、段階的に全ラインナップへ展開していきます」

最初の2車種の詳細については明かされなかったが、リビアンのソフトウェアスタックが次世代モデルの生産体制と性能に大きな影響を与えるという。

「まず第一に、複雑さの軽減が挙げられます。車両開発プロセスを大幅にスリム化、迅速化するでしょう」

「無線アップデート(OTA)はこの戦略の不可欠な要素です。機能追加や不具合修正の柔軟性が高まるだけでなく、組織の集中化にも寄与します。ソフトウェア定義型アーキテクチャーが複雑性を軽減してくれるのです」

デジタル+アナログの調和

SDV開発を推進する一方で、9月公開の『コンセプトC』に見られるように、アウディはユーザビリティの向上を目指し、従来の物理的なスイッチ類を復活させる。

この2つのアプローチは相反するように見えるが、デルナー氏はデジタルとアナログの両要素が「完璧に調和する」と述べている。

アウディ・コンセプトC
アウディ・コンセプトC    アウディ

「車内の仮想ボタンを減らし、触覚的な要素を増やします。市場から得られる顧客ニーズに応えるためです。顧客は特定の機能に直接アクセスしたいと考えています。これを実現すれば、車内に本物の金属の感触や『アウディのクリック感』といった、感情に訴える要素を取り戻せます」

「しかし、その基盤にはセントラルコンピューターユニットとゾーン型コンピューターが存在します。矛盾はなく、うまく調和しています」

次期A4 eトロンは、コンセプトCに着想を得たデザインによって、現行の内燃機関搭載A5(旧A4の後継)との差別化を図るだろう。縦長の長方形グリル、スリムなLEDライトクラスター(シグネチャー部分にアウディのエンブレムを配置)、そして空力効率を重視したミニマルでモノリシックなシルエットとなる見込みだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事