カーボンから植物へ? スポーツカーの軽量素材が切り替わる理由 BMWなど複数社が採用
公開 : 2025.10.01 17:45
BMWなど複数の自動車メーカーは、従来の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から植物由来の天然繊維複合材への切り替えを計画しています。ルーフパネルのような構造部品にも使用でき、CO2排出量の削減が期待されます。
構造にも使用 CO2削減へ
BMWは、モータースポーツで数年にわたり持続可能な天然繊維複合材を使用してきた実績を踏まえ、スイス企業Bcompが開発した亜麻ベースの素材を今後の量産モデルに採用すると発表した。
試験では、この素材は内外装の表面仕上げをはじめとするさまざまな用途に適していることが確認されたという。また、再生可能素材から作られた複合材は、美しい見た目を実現できるだけでなく、構造部品にも使用可能であることが判明した。

次世代車のルーフパネルがその一例だ。再生可能繊維複合材は製造時のCO2排出量を40%削減でき、さらに廃棄時の利点も大きいとされる。
BMWのベンチャーキャピタル部門であるi Venturesは、Bcomp社に出資している。Bcomp社は2011年に亜麻繊維を用いた高性能スキー板の開発のために設立され、2022年にはBMWモータースポーツの公式パートナーとなった。同社の織物素材『Amplitex』は、欧州産の亜麻繊維を原料としている。
用途やデザインに応じて織り方を変えることができ、ファブリックまたは熱可塑性樹脂を含浸させたプリプレグの状態で納品される。構造パネルは『Powerribs』と呼ばれる亜麻繊維製の格子状メッシュで補強可能だ。
BMWは2019年、フォーミュラE参戦車両にこの天然繊維素材の補強部品を初めて採用した。その後、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の代替えとしてM4 DTMおよびM4 GT4にも導入した。M4 GT4はニュルブルクリンク24時間レースにおいて、新素材による部品を装着して出場した。
Bcomp社によれば、用途によっては「原料採取から工場出荷まで」のCO2排出量が従来の複合材と比べて最大85%低減可能だという。一部の部品では50%の軽量化と70%の樹脂使用量削減を実現。熱可塑性のPowerribsは内装パネルの軽量化と樹脂削減につながるとのことだ。
Bcomp社は他にも複数の自動車メーカーと提携している。スペインのクプラはシートに、韓国のキアはEV3とEV4コンセプトの内装に、スウェーデンのポールスターはポールスター3に、ボルボはコンセプト・リチャージに、ポルシェは718ケイマンGT4クラブスポーツのウィングとドアに、それぞれこの素材を使用した。
BMWは今回の発表と同時に、プロトタイプのルーフパネル、リアディフューザー、内装トリムの画像を公開した。
また、ドイツ企業Out for Spaceが籐から製造した素材『Karuun』は、2017年に中国ニオのコンセプトカー『Eve』で採用された。その後、量産モデルのET7とEC7においても内装材として使用されている。籐の薄板『Karuun Stripe』はポルシェ・マカン・エレクトリックでも内装オプションとして採用されている。




























