現存する米国最古の自動車メーカー ビュイックの歴史(中編) ゴージャスで美しいデザインと強力なエンジン
公開 : 2026.01.31 11:25
ネイルヘッドと呼ばれたV8
ビュイック初のV8エンジンは、シリンダーヘッド内に垂直に並んだ細いバルブが釘の頭のように見えたことからネイルヘッドの愛称が付いた。当初は4.3Lと5.3Lの2種類が用意され、1953年以降さまざまなモデルに搭載された。時折シボレー・タスクフォースにも採用されている。第2世代では排気量が7.0Lに達した。

名車エレクトラの由来
ビュイックは1959年、エレクトラというモデルを発表した。この名は、当時GMを退任したばかりのビュイック元社長ハーロウ・カーティス氏(1893-1962年)の義妹であるエレクトラ・ワゴナー・ビッグス氏(1912-2001年)に由来する。カーティス氏は1955年にタイム誌の「今年の人」に選ばれている。なお、テキサス州の町エレクトラは、彼女の母親にちなんで名付けられた。
当時の米国車の典型的な特徴として、エレクトラは非常に大きなリアフィン(デルタフィンとして知られる)を備えている。流行の変化は速く、1961年に発売された2代目モデルにはフィンの痕跡はほとんど見られない。

ビュイックからローバーへ
ネイルヘッドエンジンは1961年、アルミ製の3.5L V8エンジン『215』に取って代わられた。高出力化と軽量化を両立した215エンジンは高く評価され、ビュイックをはじめGM傘下の複数ブランドで数年使用されたが、生産コストの高さから廃止となり、代わりに鉄製ブロックのエンジンが採用された。
しかし、英国のローバーは強力な新型エンジンを緊急に必要としており、この215エンジンの権利を購入して改良を加え、高級車に搭載した(1970年からは初代レンジローバも含む)。米国製エンジンとしては短命だったが、英国ではローバー、MG、トライアンフ、モーガン、TVR、そして数多くの競技車両において長年にわたり愛用されていた。

リビエラが独立モデルとしてデビュー
ビュイックはいくつかの特別仕様車にリビエラの名称を使用していたが、1962年には独立モデルとしてデビューさせた。フォード・サンダーバード同様、リビエラはいわゆるパーソナル・ラグジュアリーカーで、強力な第2世代ネイルヘッドV8エンジンを搭載しながらも、性能よりも快適性を重視したモデルであった。
リビエラの艶やかなデザインは、元々GMのブランド体系で一段階上のキャデラック向けに計画されていたが、キャデラック側が採用を拒否した経緯がある。ビュイックは20世紀末までリビエラの生産を続け、21世紀にも同名のコンセプトカーをいくつか発表している。





















