BMW 125d Mスポーツ

公開 : 2015.05.02 23:50  更新 : 2017.05.23 10:25

そう感じる第1の理由として、凡庸なエンジン・サウンドが挙げられる。’スポーツ’ と名付けるならば、たとえ人工的なものでもいいから、M135iのストレート6のような迫力が欲しいと感じる。

ディーゼル・ユニットは、気持ちが良いほどにリニアリティに富み、ラグもなく、レッドラインまで快活に回ってくれるだけに、味わいの面で物足りない思いをするのは残念だ。

エンジン・マナーと同じくらい感動したのはZF製ギアボックスの仕立ての良さ。変速スピードやそのなめらかさは言うに及ばず、ナビのデータからコーナーの手前で自動でシフト・ダウンしてくれるのは思いのほかありがたい。

スポーツ・モードにすると変速スピードはさらに速まり、その際の印象は、多くの主要デュアル・クラッチ・ユニットを蹴散らすほどである。

ステアリングもクイックかつ正確でありトランスミッションと同様に不満は見当たらない一方、徹底的に攻め込んでみると、低速時よりも漠然としたキャラクターに一転し、鮮やかさを欠く。

また、例えば高速でミドル・コーナーに突入し、舵角を与えた状態でバンプをもろに踏むと、後輪がふわりと浮いた感覚をもたらす。この度に “もっとゆっくり走ったほうがいいかな……” といったエンスージァストにとってあまり嬉しくない心配をする羽目になり、結果としてそれまでの楽しさが薄れてしまうのも事実だ。

一方、高速道路など比較的直線が多い道を、一定の速い速度で走る場合の安定感は特筆ものであり、常にぴったりと路面に吸い付くような走りを見せてくれる。リラックスしてステアリングを握っていられるので長距離の移動に適した仕立てだといえる。

キャビンはいつもの1シリーズと同じく、静かで快適。数あるハッチバックのなかでベストとは言い難いが、4人の大人が座っても周辺スペースには文句なく、52ℓの燃料タンクのおかげで(21.7km/ℓなる公表値に信憑性があるならば)1062kmもの航続が可能な点も嬉しい。

したがって、日常の使用域におけるパフォーマンスと経済性を優先する場合、間違いなく見逃せない存在であることは確かだ。

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