『空飛ぶクルマ』、どう思いますか?【森口将之の『もびり亭』にようこそ 第18回】

公開 : 2026.03.11 12:05

eVTOLが活躍するためにある国

しかも今年、多くの人が空飛ぶクルマという言葉から連想するであろう乗り物が、発売されるのではないかと噂されています。

スロバキアのクライン・ビジョン『エアカー』がそれで、BMWの1.6リッターエンジンを搭載し、航続距離は約1000km。離着陸には滑走路が必要ですが、翼を格納すれば道路も走れます。YouTubeではテストフライトの様子も紹介されています。

スロバキアのクライン・ビジョン『エアカー』。
スロバキアのクライン・ビジョン『エアカー』。    クライン・ビジョン

このクライン・ビジョン、最新情報では100万ドルで発売予定とのこと。空飛ぶクルマという言葉を使っている人たちは、どのような反応を示すのでしょうか。

ただ、今回の東京ビッグサイトでのテストフライトでは、この点について興味深い出来事がありました。説明を担当したスカイドライブの担当者が、空飛ぶタクシーという言葉は一切使わず、eVTOLで通していたのです。

最新状況を見て、軌道修正を図っているのであれば好感を抱きます。少しずつeVTOLやエアタクシーなど、グローバルな呼び名に移行してほしいものです。

それと個人的には、公共交通が世界トップレベルで完備した東京に、これ以上新たなモビリティを入れる必要性は薄いと思っています。それよりも日々の移動に困っている地方こそ、eVTOLを活躍させるべきではないでしょうか。

日本は国土の75%が山地であり、島の数は1万4125で世界第7位、海岸線の長さは約3万5000mで第6位です。それでいて人口は1億2000万人以上と、世界12位です。

つまり陸上移動が困難な地域が、世界トップレベルで多いのに、多くの人が暮らしています。eVTOLが活躍するためにある国ではないでしょうか。

こうした地域は、多くが過疎化や高齢化、さらには自然災害により、日々の移動すら苦労する状況にあります。だからこそ、社会目線での導入を望みたいところです。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。

森口将之の『もびり亭』にようこその前後関係

前後関係をもっとみる

おすすめ記事

 

人気記事