なぜトヨタ社長が3年で交代? 緊急記者会見現場で感じた空気感 大きな時代変化へファイナルチャンス
公開 : 2026.02.07 12:05
2月6日、トヨタは代表取締役社長の佐藤恒治氏が副会長、および新設されるチーフ・インダストリー・オフィサー(CIO)に就き、新社長に執行役員の近健太氏が昇格することを発表しました。会見に参加した桃田健史のレポートです。
過去事例を見てもかなり早い交代
いったい何があったんだ? 2月6日の午後1時、トヨタ自動車(以下トヨタ)から報道各社に同日午後3時半からトヨタ東京本社で記者会見を行うと通知があった。
記者会見の内容は不明で、登壇者はトヨタの『佐藤恒治社長 他』と記載があるだけ。そのため、報道各社の間で様々な憶測が飛び交った。

この日は、2026年3月期 第3四半期決算の公開日なのでトヨタの業績に関する会見かと思われたが、どうもそうではないらしい。蓋を開けてみると、なんと社長交代だ。
4月1日付けで、代表取締役社長の佐藤恒治氏は副会長、および新設されるチーフ・インダストリー・オフィサー(CIO)に就く。新社長には執行役員の近健太氏が昇格する。
佐藤氏は社長になってまだ3年で、トヨタの過去事例を見ても交代時期としてはかなり早い。特に、現会長の豊田章男氏は14年にわたりトヨタを率いてきたこともあり、佐藤氏の3年は短いという印象を持つ人が多い。
今回、役員人事案策定会議の検討を経て2月6日の取締役会で決議された。同会議は役員人事の独立性を担保するため独立社外取締役2名と社内取締役1名で構成されるもの。
では、同会議がなぜこのタイミングで社長交代を提案したのか。
会見を通じて筆者が感じたのは『大きな時代変化へのファイナルチャンス』だ。
2026年3月期の通期見通しは、売上高が初の50兆円超えとしたトヨタが世界でこれからも勝ち抜くためには、いまこそ経営体系のフォーメーションチェンジが必要なのだ。
名実ともにオールジャパン体制へ
自動車産業が100年に一度の大変革期に直面していると言われて久しい。
CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリングなどの新事業形態、電動化)、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)、またとSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)といったバズワードは、すでに古臭く感じるほど自動車産業界は急激に変化している。

米中の政治的な駆け引きに起因する、原材料の安定調達の難しさや、環境規制に対する法規制の転換など、自動車産業の先行きは不透明な要素が満載だ。
そうした中、自動車メーカーでつくる業界団体の日本自動車工業会(自工会)は昨年12月、『新7つの課題』を挙げた上で、メーカー間の壁を取り払った名実ともにオールジャパン体制で具体的な動きを加速させる。
その先頭に立つのが、今年1月1日に自工会会長に就任したトヨタの佐藤社長だ。昨年5月から経団連副会長にも就任している。
こうした重責とトヨタの執行トップを兼務することによるトヨタ経営への影響を、トヨタの役員人事案策定会議は議論し、新しい経営フォーマットの提案に至ったというわけだ。
佐藤氏は「(3職の兼務で全てに対して)フルスイングできるのかという思いがあったため、(人事案を知って)ハッとした」という。
つまり、経団連副会長と自工会会長は単なる名誉職ではなく、まさに執行職なのだ。
今回のトヨタ社長交代は、日本が世界に対して直面している厳しい現実の象徴であり、自動車産業の枠を超えたオールジャパン体制の真価が問われる。











