際立つブッソV6の美声 アルファ・ロメオ GTV6 BSCCレーサー(2) 克服を目指す3つの弱点 「レーシングカーとしては最高」

公開 : 2026.07.26 17:50

まるでナイフの上を進むような危うさ

メルビンは、フォード・カプリやエスコートより洗練されていると考えている。「カプリのように、ドリフトはできません。テールを滑らせると、重量配分やクロスプライ・タイヤのせいで、元の姿勢には立て直せないんです」

「限界付近では、一般的なFRより挙動はシャープ。旋回速度は高くても繊細で、まるでナイフの上を進むような危うさがあります。許容範囲が狭く、一線を越えると、振り子のように振られて制御不能です。正確な運転が求められます」

アルファ・ロメオ GTV6 BSCCレーサー(1982年式)
アルファ・ロメオ GTV6 BSCCレーサー(1982年式)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

「スラクストン・サーキットでは、跳ねるような挙動を避けたい。ボディを落ち着かせて、フロントのグリップ力を引き出しています。バランスが難しい」

「フロントの減衰力を弱めたところ、挙動が大幅に改善しました。タイヤは全体での温度差を抑え、外側のショルダーを温めるため、空気圧を少し低めにしています」

4気筒エンジンの中で際立つブッソV6の美声

確認を終えて、GTV6がコースイン。多くのスポーツカーへ混じりつつ、ブッソV6の咆哮が空気を震わせる。今日は4気筒の参加車が多く、鳥肌モノの美声が際立つ。

「去年とは、雲泥の差です。アンダーステアは残っていますが、ここで完璧に調整しても、グッドウッドでは手を焼くでしょう。今のままでも、気持ち良く走れます。ブレーキングでは、アンダーにはなりませんし」。メルビンが微笑む。

アルファ・ロメオ GTV6 BSCCレーサー(1982年式)
アルファ・ロメオ GTV6 BSCCレーサー(1982年式)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

「タイヤの限界なんだと思いますが、高速コーナーは曲がりにくい。フロントのアンチロールバーを、もっと硬くしても良いのかも。以前、専門家に解析を依頼したら、彼らの指摘が正しかったんです。ちょっと悔しかったですが」

「アンチロールバーを太くする必要性を指摘したのも、その専門家です」。どれくらいの直径なのか、いたずら心でメルビンへ数字を聞いてみた。「教えられませんよ!」

協力:クリス・スノウダン・レーシング、ジャベリン・トラックデイズ、スラクストン・サーキット、ジョン・ヘイレット氏

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・チャールズワース

    Simon Charlesworth

    英国編集部
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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