セアト・イビーザ1.0 TSI 110

公開 : 2015.06.09 23:20  更新 : 2017.05.29 18:44

ただしすべての回転域を通じてパワー・デリバリーの起伏はなめらかであることから、幅広いパワー・バンドに頼りきることができる。上り坂でもシフト・ダウンせずに済むから楽だ。

7速DSGは燃費を優先して容赦なく変速するタイプ。賢いシステムゆえ、望みどおりの変速を機械側が行ってくれるが、欲を言うならパドル・シフトを設けてくれたらなと思う。

リチューンされた車速感応式の電制ステアリングのもたらすフィードバックは相変わらず物足りない。また、軽すぎる仕立てであるため、時に不安になることもある。

しかし、バルセロナ郊外の九十九折をチャレンジしたところ、グリップ・レベルには不満はなく、シャシーの改良点もうまく引き出している。

ボディ・ロールはわずかに生じる一方、カントリーサイドの凹凸の多い路面では、巧みに衝撃を吸い込んでくれる。

100km/h前後からはドア・ミラーからのウインド・ノイズが目立つことは否定しない。

エントリー・レベルに値するEには、USB接続ができる標準で5.0インチのタッチスクリーン・マルチメディア・システムがつく。電動フロント・ウインドウと電動ミラーも標準となる。

SEには、さらに電動エアコン、リアLEDライト、DABラジオ、ブルートゥース接続が、コネクト・トリムにはナビ、‘フル・リンク’ マルチメディア・システム、電動リア・ウインドウ、16インチ・アロイ・ホイールが加わる。

トップ・スペックには、さらにスポーツ・サスペンションとクルーズ・コントロール、電制ロッキング・デフが追加される。

後席をたてた状態の荷室容量は290ℓ。フォード・フィエスタフォルクスワーゲン・ポロと同等であるが、クラスをリードするヒュンダイi20の326ℓには遠く及ばない。

■「買い」か?

1.0ℓ 3気筒ターボが111psを引きだす点、DSGギアボックスを採用した点、洗練性が増した点、より運転しやすくなった点を考慮すると以前よりもイビーザを買う理由は増えた。

また、多くの要望があった、キャビンとインフォテインメント・システムのアップグレード(特に直感的なフル・リンク・システム)が施された点も、このセグメントの購入を検討している層の後押しになるだろう。

しかしイビーザの上には、楽しいフォード・フィエスタが立ちはだかっている。それにヒュンダイi20の実用的なパッケージング(しかも安い)も、イビーザの存在を揺るがしている。

イビーザは大きく改善され、競争力もかなり高まったが周囲の実力派モデルを考慮するとクラス・ベストになるにはもう少し努力が必要だ。

(アーロン・スミス)

セアト・イビーザ1.0 TSI 110

価格 £16,140(308万円)
最高速度 196km/h
0-100km/h加速 9.3秒
燃費 22.7km/ℓ
CO2排出量 102g/km
乾燥重量 1140kg
エンジン 直列3気筒999ccターボ
最高出力 111ps/5000rpm
最大トルク 20.5kg-m/2000rpm
ギアボックス 7速デュアル・クラッチ


▶ 海外初試乗 / セアト・イビーザ1.0 TSI 95
▶ 海外ニュース / セアト・イビーザ、フェイスリフト

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