新型『日産サクラ』で『BYDラッコ』を乗りに行く(後編) 中身も価格も十分な競争力の中国製か、現代の小さな高級車と呼べる日本製か

公開 : 2026.08.31 11:50

上質感と華やかさが増したように感じる

BYD ラッコの試乗会に出席するために、マイナーチェンジを受けたサクラ日産のグローバル本社にピックアップに行った。

用意されていたのはトップグレードにあたる『G』で、さらにメーカーオプションのオートレベライザー付きLEDヘッドランプ+アダプティブLEDヘッドライトシステム、ホットプラスパッケージ、100V AC電源、ルーフサイドステッカーなどを装備した仕様。

ドライブモードスイッチを使いやすい位置に移動するなどの改良が施されたサクラの室内。
ドライブモードスイッチを使いやすい位置に移動するなどの改良が施されたサクラの室内。    佐藤亮太

今回新色として追加された『水面乃桜―ミナモノサクラ―』もまた、メーカーオプションのひとつだった。

外観ではボディと同色のカラードグリルを採用し、カッパー色があしらわれた新デザインのフロントバンパーをアクセントとして組み合わせるなど、さらに上質感と華やかさが増したかのように感じる新型サクラ。

キャビンでも助手席側にカップホルダーを追加したほか、エアコンの風高性能の改良、ドライブモードスイッチをより使いやすい位置に移動するなどの改良が施されている。

実際にドライブした新型サクラは、これまでと同様に、走りの中に軽自動車の枠を超えたとも言える高級感が演出されたモデルだった。搭載されるエレクトリックモーターは最高出力で47kW(約64ps)、最大トルクでは195Nmというスペックを誇る。最大トルクがラッコと比較して、35Nmも大きな数字であることが特に印象的だ。

「電気自動車は、夜は自宅で眠るもの」

リチウムイオンバッテリーの搭載量が20kWhと小さいため、サクラのウエイトは1100kgを切るレベル。従ってスタート時に感じるスムーズさは、ラッコのそれ以上に魅力的だ。

高い質感を感じるキャビンに身を委ねながらドライブを続けていると、さらにこのサクラが持つ圧倒的な剛性感、そしてリアに3リンク式リジッドを用いたサスペンションが生み出す快適な乗り心地、そしてロードノイズ以外はほぼドライバーやパッセンジャーには届かないと報告してもよい、素晴らしい静粛性に驚かされる。

スタート時に感じるサクラのスムーズさは、ラッコのそれ以上に魅力的だ。
スタート時に感じるサクラのスムーズさは、ラッコのそれ以上に魅力的だ。    佐藤亮太

ちなみにこのサクラでは『エコ』、『スタンダード』、『スポーツ」の各ドライブモードを選ぶことができ、ワンペダルドライブ機能の『eペダル』も別に用意されている。さらにシフトセレクターには『D』レンジのほかに『B』レンジもあるので、その組み合わせによって好みのパワー、そして加減速フィールを設定することができるのだ。

ちなみにエコもしくはスタンダードで、eペダルはオフというのが最も自分の好みに近かった。

まさに『現代の小さな高級車』とも表現することができる新型サクラだが、やはり気になるのはその一充電あたりの走行可能距離。マイナーチェンジを受けながらバッテリーの搭載量などに変化がなかったのは残念なところだ。結果的にスペックシート上の航続距離は180kmとなり、今回のように神奈川県横浜市と静岡県御殿場市を往復するような、長距離移動へ用いるのはやや無理があるとも言える。

ちなみにそう考える筆者に、娘はかつてこう言ったことがある。「電気自動車(EV)は、夜は自宅で眠るもの。そう考えることができれば、サクラは毎日の生活の足としてはちょうどいい」。それはラッコにも同じことが言えるのかもしれないが、いずれにせよその選択肢が広がったことが歓迎すべきことだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王(超王)」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 撮影

    佐藤亮太

    Ryota Sato

    1980年生まれ。出版社・制作会社で編集経験を積んだのち、クルマ撮影の楽しさに魅了され独学で撮影技術を習得。2015年に独立し、ロケやスタジオ、レース等ジャンルを問わない撮影を信条とする。現在はスーパーカーブランドをはじめとする自動車メーカーのオフィシャル撮影や、広告・web・雑誌の表紙を飾る写真など、様々な媒体向けに撮影。ライフワークとしてハッセルブラッドを使い、生涯のテーマとしてクラシックカーを撮影し続けている。佐藤亮太公式HPhttps://photoroom-sakkas.jp/ 日本写真家協会(JPS)会員
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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