『ウィル』がクルマ好きを惹きつける理由【森口将之の『もびり亭』にようこそ 第24回】

公開 : 2026.09.09 12:05

カーボンは帝人と共同開発

中でもモデルCライトで目立つのが、カーボンファイバー素材でしょう。

一部はあの帝人と共同開発した素材を使っているそうで、軽量化と走りの良さを両立するための起用とのこと。レーシングマシンを思わせる考え方です。

帝人と共同開発したカーボンファイバー部品。
帝人と共同開発したカーボンファイバー部品。    森口将之

折り畳みもしやすい。畳むときは背もたれを前に倒して、アームレストとフットプレートを格納し、後ろ側のグリップを握ってロックを解除し、持ち上げるだけ。畳んだ状態ではモーターのついた駆動輪が浮き、補助輪で支えるので、そのまま転がすことができます。

グリップの部分がライトグリーンで色分けされているのはわかりやすいし、絶妙なアクセントにもなっています。会場にはクルマも持ち込まれていましたが、たしかに軽いのでクルマに積んで、必要なときだけウィルに乗るという使い方もできそうです。

免許返納後の最右翼

試乗もしました。操作系はモデルC2と基本的に同じ。僕は2023年のジャパンモビリティショーで、会場を巡るのにモデルC2をお借りしたこともあるのでコクピットドリルは不要でしたが、初めての人でもすぐに慣れるはずです。

走り出して最初に感じたのは、安定した走行感と、しっとりした乗り心地です。フロントがコイル、リアがカーボン製リーフスプリングを用いたサスペンションのおかげでしょう。

オムニホイールと前後サスペンション。
オムニホイールと前後サスペンション。    森口将之

その仕掛けが目で見てわかるのも、メカ好きには嬉しいところ。座面の下の薄いカーボンも、たわみ効果があるそうで、限りなくクルマに近い設計思想の持ち主です。

クルマにできないアクションもあります。

その場でクルッと旋回できることはそのひとつ。こちらは特許を取得した、前輪のオムニホイールのおかげです。タイヤに10個の横向きローラーが組み込まれているので、後輪のモーターを左右で逆方向に回転させれば、『回れ右』も一発。

さらにオムニホイールは走破性にも優れていて、5cmまでの段差なら乗り越えることが可能です。

そんなウィルを見る目は、この15年間で大きく変わりました。最近は運転免許返納後のことを考えて、接するようになったのです。

それがいつになるかはわからないけれど、そのときになって慌てなくてもいいように、いまからカッコいいパーソナルモビリティをチェックしておくのは大事と考えるようになったのです。

その中でウィルは最右翼と言えます。

スタイリッシュで、メカもこだわっていて、走りを大事にしている。クルマ好きの気持ちに刺さる車いすというところは大きいと、自分なりに思っています。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。

森口将之の『もびり亭』にようこその連載

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