空気充填不要のエアレスタイヤ ブリヂストン『エアフリー』、グリスロで実証実験中 乗車感はまるでフランス車?
公開 : 2026.03.16 12:05
ブリヂストンが研究を進める空気充填不要のエアレスタイヤ『エアフリー』が、東京都杉並区のグリーンスローモビリティで実証実験を実施。3月5日に開催された取材会の様子を森口将之がレポートします。
第3世代となるエアフリーが杉並区を走る
クルマの安全性は年々向上している。しかしながらその走りを支えているのが、タイヤであることは変わらない。ただ、どんなに素晴らしいタイヤを履いても、空気圧が適正でないと、本来の性能を発揮できないばかりか、最悪の場合事故につながる。
こうした課題を解決するために、タイヤメーカーは以前から、空気の充填が不要のエアレスタイヤの開発を進めている。

日本を代表するメーカーであるブリヂストンもそのひとつだ。2008 年より『AirFree(エアフリー)』の名とともに研究開発を続け、第3世代となる現在のタイヤは、2024年3月から技術センターのある東京都小平市近郊の公道での実証実験を開始している。
そんなエアフリーが、現在関わりを強めているのが『グリーンスローモビリティ』、略称グリスロだ。初めてこの言葉を見た人もいると思うので説明すると、国土交通省が2018年に提案したカテゴリーで、最高速度20km/h未満の電気自動車を活用した移動サービスのこと。
ブリヂストンでは、高齢化や過疎化、労働力不足といった地域交通の課題に対する解決策として注目されているグリスロに、より安心・安全な移動をもたらすことを目指し、いくつかの自治体と連携協定を締結。昨年11月には富山市で実証実験を行った。
そんなブリヂストンのエアフリーが、2024年11月から運行を始めた東京都杉並区のグリスロで、今月実証実験を行うことになり、3月5日に取材会が開催された。
初めてグリスロを走らせた石川県輪島市(現在は運行休止中)をはじめ、全国各地でこの乗り物に触れてきた一方、2024年度のグッドデザイン賞で審査委員としてエアフリーを選出した経験を持つ自分としては、行かねばならない取材だと感じ、現地に向かった。
エンパワーリングブルーのスポーク
杉並区のグリスロは、JR東日本中央線と東京メトロ丸ノ内線が乗り入れる荻窪駅の南側地域を巡っている。
この地域には、建築家の伊東忠太が設計し首相を3度務めた近衞文麿が居住した荻外荘(てきがいそう)公園、音楽評論家・大田黒元雄の屋敷跡である大田黒公園、角川書店の創業者で俳人だった角川源義の邸宅がある角川庭園があり、地域住民の移動だけでなく、この3つの庭園を回遊する乗り物としても導入された。

取材会の会場は荻外荘公園。せっかくなのでグリスロで行こうと思い、荻窪駅を降りると、エアフリーを履いたヤマハ発動機の電動カートが待っていた。『地域社会の安心安全な移動をエンパワーする(力を与える/支える)青』として起用された、エンパワーリングブルーのスポークですぐわかる。
ちなみにこのブルー、薄暗い時間帯でも視認性を最大化できるようにしているとのこと。スポークの形状は複雑で、長年にわたる研究開発の成果であることが伺えた。
運賃は100円で、キャッシュレスアプリでの支払いも可能。10分ほどで到着した荻外荘公園では、杉並区とブリヂストンの担当者がプレゼンテーションを行った。
杉並区では、2023年に策定した『杉並区地域公共交通計画』に基づき、誰もが気軽で快適に移動できる地域社会の実現に向けて、新たな移動サービスを検討してきた。そのひとつに位置づけたのがグリスロで、翌年12月の荻外荘公園の開園に合わせて本格運行を開始。予想以上の利用があるという。
これ以外の杉並区の取り組みでは、さまざまな移動サービスをひとつに統合させたMaaS『ちかくも』が挙げられる。経路検索、地域のおでかけスポットのほか、グリスロの混雑具合や発着時刻、区営乗合タクシー(AIオンデマンド交通)の予約などができる。






