ボルボのフラッグシップクロスオーバー『ES90』は、4ドアでなく5ドア デザインや乗り味がもたらす『空間美』に感心 実はEX90よりも販売好調

公開 : 2026.09.08 17:25

決して過激ではなく、全ての動きがスムーズ

今回は箱根の会場を出発し、ワインディング、下道、有料道路と様々なコースを走ることができた。ツインモーターならではの力強い加速は少し体験できた程度だが、決して過激ではなく、全ての動きがスムーズなのが印象的だ。

ロングホイールベースの恩恵で高速走行は安定性が高く、ADASの世代も新しくなっていることも実感。シートは相変わらずボルボらしく疲れが少なく、これは長距離移動も快適そうだ。後部座席はかなり広いので、同乗者からの評判もいいに違いない。

箱根ターンパイク頂上に設置された240kW急速充電器で充電体験。
箱根ターンパイク頂上に設置された240kW急速充電器で充電体験。    平井大介

唯一気になったのは、多くの操作がセンターディスプレイに集中していること。これは時代の流れとして受け入れるべきとわかってはいるが、あくまで好みの問題として、慣れだけでは乗り越えられない壁がある気がしている。

試乗終盤、箱根ターンパイク頂上に設置されたフラッシュの240kW急速充電器も試すことができた。高出力なうえ充電した分だけ料金を支払う従量制であり、今後は増えていきそうなタイプである。

ES90のバッテリーは106kWと大容量であるが、バッテリー残量46%からボルボが指定した70%までの充電時間はわずか8分であった。参考までに充電電力量は30.7kWhで、料金は1350円である。もちろん充電カードや月額利用料は必要ない。

そこに身を置くことの気持ちよさ

こうした取材を通じて感じたのは、『ES90の空間美』であった。

ボルボらしい落ち着いたデザインや色使いと、電動パワートレインやエアサスペンションなどによる静粛性や快適性との相性が実によく、その空間全体に美しさがあったのだ。そこに身を置くことの気持ちよさがあり、目に見えない安全性もその感覚を後押しするのだろう。これこそが、ES90における白眉だと思ったのである。

取材を通じて感じたのは、『ES90の空間美』であった。
取材を通じて感じたのは、『ES90の空間美』であった。    平井大介

なお、EX90とES90は同時に発売され、1ヵ月ほどの初速値で、売れているのは実はES90のほうだという。これはボルボ・カーズ・ジャパンも予想外だった様子。

もちろんS90などからの乗り換えもあるだろうが、数が増えすぎて食傷気味のSUVに対し、このフラッグシップクロスオーバーが新たな受け皿となっている可能性はある。一見すると古のセダン風だが中身は最新中の最新。ボルボES90は、まさに温故知新の1台と言えるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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