800Vへ高電圧化 ボルボ、EVにNvidia製高性能コンピューター搭載 EX90大幅アップデート

公開 : 2025.09.25 17:45

ボルボは大型電動SUV『EX90』に大幅改良を実施し、安全機能や充電速度などを強化しました。これから納車される新車だけでなく、既存車両もハードウェアおよびソフトウェアのアップデートを受けることができます。

安全機能を強化 充電速度も向上

ボルボは、欧州で販売するEV『EX90』に大規模なハードウェアとソフトウェアのアップデートを施した。電気システムが800Vに強化され、既存車両にも以前から約束されていた安全機能が追加される。

アップデートに伴い、車両制御システムを動かすための「頭脳」となるコンピューターとして、従来のNvidia製Xavierに代わってDrive AGX Orinプロセッサを新たに採用。新型ES90と同等の性能を獲得した。

ボルボEX90
ボルボEX90

コンピューターの処理能力が500 TOPS(1秒あたり500兆回の演算能力)に向上したことで、車両のLiDARセンサーを活用した追加の安全機能が利用可能になった。具体的には、夜間の歩行者や自転車の検知、ドライバーの体調不良時の緊急停止、自動駐車機能の拡張などが挙げられる。

ボルボによれば、このアップデートはEX90の2026年モデルに向けた改良の一環だが、既存の所有者もディーラーで無料のアップデートを受けられるという。欧州では6か月前に客への納車が始まったばかりだ。

さらに、処理能力の向上により、大規模な無線ソフトウェアアップデートが可能となる。ボルボは定期的なアップデートに加え、年間4回の主要ソフトウェアアップデートを実施する予定だ。

ハードウェアも強化され、現行モデルの電圧の2倍となる800V電気システムを搭載する。これによりバッテリーの最大充電速度が250kWから350kWに向上し、わずか10分の充電で約250kmの走行が可能になった。充電時の発熱を低減する新システムも導入される。

さらに、高電圧化によって加速性能も向上すると言われているが、新型の0-100km/h加速タイムはまだ公表されていない。参考までに、現行の最上位グレードである『ツインモーター・パフォーマンス』は4.9秒だ。

ボルボによると、システムの高効率化によりバッテリーとモーターの小型化が可能となり、材料の使用量削減と軽量化を実現できるという。

2026年モデルのEX90の仕様詳細は、現時点では未公開だ。価格は現行の8万3000ポンド(約1660万円)より若干上昇すると見込まれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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