プジョー3008はハイブリッドよりEVが似合う? 取り戻した感のある205や306の挙動【森口将之が解析】

公開 : 2026.06.08 12:05

EVモデルとして追加された『プジョーE-3008』に、森口将之が試乗します。エンジン車よりも車重が500kg以上重いですが、そのマナーは電動車経験の長さを実感させるもの。205や306を思わせる挙動にも注目です。

早くから取り組んできたパワー・オブ・チョイス

マルチパスウェイというと、トヨタをはじめとする日本車の専売特許のように思っている人がいるかもしれないけれど、プジョーを含めたステランティスも、同様の取り組みを早くからしてきたグループのひとつだ。

たとえば208では、日本導入当初から、ガソリンエンジンと電気モーターの2種類を用意し、『パワー・オブ・チョイス』とアナウンスしていた。208が日本で発表されたのは2020年。日本の自動車業界がマルチパスウェイという言葉を使うようになったのは、2年後あたりからだと記憶している。

ハイブリッドに続き追加されたEVモデル、『プジョーE-3008 GTアルカンターラパッケージ』。
ハイブリッドに続き追加されたEVモデル、『プジョーE-3008 GTアルカンターラパッケージ』。    平井大介

ステランティス以外のフランス勢に目を広げると、同じ2022年にはルノーが、欧州では初のフルハイブリッドシステムを搭載したアルカナを日本で発売している。ルノーは5(サンク)やトゥインゴはEVにしているけれど、EV一辺倒ではない。

最近の日本人は、スイッチのように分かりやすい議論が好みで、欧州のEVシフトにハイブリッドで対抗する日本という図式を作って溜飲を下げているような感じを受けるが、欧州の中でも温度差は異なる。

フランスは昔から、国連の安全保障理事会でも米英と中露の間に立って、独自の立場を取ることが多かった。『戦略的自律』と言われる彼らなりのスタンスは、今も外交分野で貫かれているようだ。

EVシフトについても同じで、フランスは欧州委員会などEU全体の流れからは一歩引いた立場であり、むしろ日本のそれと近いことを、少なくともクルマ好きであれば理解しておいていいのではないかと思っている。

グレードは『GTアルカンターラパッケージ』

ここで紹介する『プジョーE-3008』も、昨年発売されたハイブリッド仕様の3008と基本的に同じボディにモーターとバッテリーを搭載したもので、パワー・オブ・チョイスの思想は生き続けていることが伝わってくる。

グレードはハイブリッドの最上級と同じ『GTアルカンターラパッケージ』。全長4565mm、全幅1895mm、全高1665mmのボディサイズも同一だ。ホイールベースが10mm長い2740mmなのは、パワーユニットの違いによるものだろう。

リアゲートの車名の文字が『E 3008』になり、『HYBRID』の文字がなくなった。
リアゲートの車名の文字が『E 3008』になり、『HYBRID』の文字がなくなった。    平井大介

外観はリアゲートの車名の文字が『E 3008』になり、『HYBRID』の文字がなくなったことと、ホイールのデザインが異なることに気づく。よく見るとフェンダーやサイドシルのブラック部分は塗装仕上げになり、タイヤ幅はワンサイズ太い235/55R19になっていた。

プジョーのおしゃれ番長と言いたくなる大胆な造形のインテリアはそのまま。ハイブリッドとの違いは、メーターパネルにイラストを使った充電容量の表示が入り、スライド式のドライブセレクターからM(マニュアル)が消えたことなどだ。ただしパドルは3段階の回生ブレーキレベル調節のために残されている。

床の高さやラゲッジスペースの深さなどは、ハイブリッド車と変わりなし。確かに520Lの荷室容量は同一だ。ラゲッジスペースのフロアが、斜めに立て掛けた状態で固定できるのは、相変わらず便利そうだった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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