スポーティなセッティングを選べばA4はこれまでよりずっと生き生きする。アクセル・ペダルはさほど踏みこまずとも前にグングンと進み、左右の動きもかなりタイトになる。

ただしトラクションを前輪にしか伝えられないというのはやはり辛い。たとえばウェット・コンディションの場合、トラクション・コントロールが介入したことを知らせるランプがピカピカと点灯することは珍しくない。

少なくともステアリングが暴れるほどではないのだが、やはりクワトロの方が好ましい。ちなみに例のごとくステアリングから伝わるフィードバックは希薄である。

このクルマがもっとも光り輝くシチュエーションは、2車線以上の高速道路だ。速度に比例して、追い越し時の柔軟性に助けられることになる。追い越したいクルマがあれば、軽くアクセルを踏んで一気に加速。そういった乗り方ができるクルマなのである。

キャビンの居心地は例に漏れずいい。後席に3名乗車はちとキツイが、4名の大人にとって室内は余るほど広い。頭上スペースにも余裕がある。素材の質感も高い。

トランクのサイズも必要にして十分。主なライバルであるBMW 3シリーズと比べても、堂々と渡りあえるレベルだといえよう。