BMW X5 xDrive 40e

公開 : 2015.12.14 23:54  更新 : 2021.10.11 09:02

■どんな感じ?

X5 xDrive 40eは、読者の方は先刻ご承知のように、威風堂々たる雰囲気をたたえている。大型のキドニーグリルをはじめ、目を見開いたようなLEDスモールライトリングがかたどるヘッドランプがすごみを効かせ、そして18インチから20インチにおよぶ大径タイヤによるしっかりしたスタンスが、たくましい印象を与える。

2ℓ4気筒エンジンで、こんな、余裕あるサイズのクルマはちゃんと走るのだろうか。こんな不安は、走らせるとすぐに消し飛んだ。エンジン単体でも1250rpmから35.7kg-mもの最大トルクを発生するうえ、アクセルペダルを踏み込んだ時から最大トルクを発生する電気モーターの恩恵は大きい。すいっと驚くほどのスムーズさで発進する。

X5 xDrive 40eには “eDrive” ボタンが設けられていて、センターコンソールで、3つのオペレーションモードを選択できる。“AUTO eDrive” はエンジンとモーターという2つの動力源を走行状況に合わせて自動で切り替えていく、いわゆる通常のハイブリッドモード。“MAX eDrive” は電気モーターのみのEVモード。そして “SAVEバッテリー” はガソリンエンジンのみで走り、バッテリーに充電するモードである。

基本的にはまず “MAX eDrive” を選んでどれだけ燃費運転が出来るか確かめたかった。燃費運転の極意は、バッテリーを使いきるように走るところにある。X5 xDrive 40eには、バッテリー残量を細かくリアルタイム示すメーターがすぐにみつからなかったので、ちょっとやりにくいかもしれないが、“MAX eDrive” で走っていると、BMWが公表している3.3ℓ/100km(30km/ℓ)という燃費に近い数字が出せるはずだ。

あいにく乗ったクルマは、リチウムイオンバッテリーの充電時間が短く、残量の問題で、エンジンがすぐ始動。それで、電気モーターだけのゼロエミッション走行をじっくり試すことは出来なかった。それでもさきにも触れたように、25.5kg-mのトルクを瞬時にして発生する電気モーターのトルキーな特性はわかった。つまり、“MAX eDrive” モードは実用性十分である。

フル充電で約31kmのEV走行が可能という。電器が日常生活で近くに確保できるなら、市街地ではEVとしての経済性を、同時に、走りが楽しいドライバーズカーとしての魅力を、十分に味わえるだろう。

X5は、それだけでない。走りにもキャラが立っているクルマである。

記事に関わった人々

  • 小川フミオ

    1959年生まれ。慶應義塾大学文学部英米文学科卒業。二玄社(にげんしゃ)で「NAVI」の編集に携わる。1999〜2001年、編集長。02年より「モーターマガジン」(モーターマガジン社)の編集長に。同年秋より「Food and Style」を謳うグルメ誌「アリガット」(IMAGICAパブリッシング)の編集長に。2004年よりフリーランス。

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