BMW X5 xDrive 40e

公開 : 2015.12.14 23:54  更新 : 2021.10.11 09:02

X5 xDrive 40eのキャラ立ちは、たんに大型のプラグインハイブリッドだということにとどまっていない。乗り味も、個性がある。

ひとつは、サスペンションのセッティングだ。あえてストローク感を出しているかんじなのだ。なつかしいかんじだった。ひと昔前のクロスカントリー型4WDは、悪路での接地性が大事なので、サスペンションのストロークを長くしていた。そのため、高速などでは、ステアリングホイールを切る操舵を正しいタイミングで行わないと、車体が傾きすぎたりしたものだ。

X5 xDrive 40eでも、ステアリングホイールをちょっと切り遅れると、修正の時、車体が(感覚的に)おおげさに傾く。Gの移動が車体のダイアゴナルな動きと深く関係するかんじがある。自動車の運転の基本を理解していないと、同乗者に不愉快な思いをさせるかもしれない。世の中がオンロードも快適なSUV志向に向かうなか、この感覚を久しく忘れていた。

昨今では、しかも、サスペンションのストロークを確保して車輪の接地性を高めなくても、電気制御によって、4つの車輪の駆動力はきちんと得られる。もちろん、X5 xDrive 40eにも最先端の電子制御技術がいろいろ搭載されているから、オフロードでの走破性の高さは、昔とは比べものにならないだろう。

オンロードではどうかというと、ワインディングロードでの走りは、じつは意外なほど楽しい。サスペンションのストローク感があっても、ロールして腰くだけになることはない。短時間で独特のロール感覚に慣れれば、あとは思うままにステアリングホイールを切って、速いペースで走ることが出来るのだ。操舵力はやや重めだが、切り込んだ量と車体の動きとがきちんと連動しているので、もてあますことはない。BMWならではのテイストがちゃんとある。

目に見えない部分での安定走行性も、きちんと確保されている。電子制御ダンパーをはじめ、前後輪へのトルク配分を細かく変化させることで走行安定性を高めるダイナミック・パフォーマンスコントロール、操舵力および操舵角を速度域に応じて変化させるアクティブステアリングなどが用意されているのだ。

記事に関わった人々

  • 小川フミオ

    1959年生まれ。慶應義塾大学文学部英米文学科卒業。二玄社(にげんしゃ)で「NAVI」の編集に携わる。1999〜2001年、編集長。02年より「モーターマガジン」(モーターマガジン社)の編集長に。同年秋より「Food and Style」を謳うグルメ誌「アリガット」(IMAGICAパブリッシング)の編集長に。2004年よりフリーランス。

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