限界域のハンドリングは、これまで以上にニュートラルになっているようだし、アンダーの傾向も弱められている。これまでに比べるとテール・ハッピーになったというのも、現行モデルならではの長所だ。

ダイナミック・モードではさらに鼻先がクイックに向きを変え、ステアリングはダイレクトかつ重みも適切なのだが、しかしフィードバックに満ち満ちているといえないのが残念なポイントである。

一方の乗り心地は、(少なくともコンフォート・モードでは)すこぶるやわらかい。標準の可変ダンピング・コントロール・システムのおかげもあって、凹凸を乗り越えたときも、衝撃をすっと吸収してくれるのである。

ロード・ノイズもうまく吸収しているから車内も静かだ。日常的なコンディションであれば、ドイツの路面では洗練された印象を強く受けた。

■「買い」か?

フェイスリフトしたS3サルーンの価格をアウディはまだ決めかねているようだが、これまでの£33,830(543万円)という価格から大きく変わらないと予想する。見た目、装備、質感、速さ、コンディションを問わぬ安定感を考えると、この価格はずいぶんと魅力的だと感じている。

アウディS3サルーン

価格	約£34,000 (546万円)
最高速度	249km/h
0-100km/h加速	4.6秒
燃費	15.6km/ℓ
CO2排出量	148g/km
乾燥重量	1470kg
エンジン	直列4気筒1984ccターボ
最高出力	310ps/5500rpm
最大トルク	40.8kg-m/2000rpm
ギアボックス	7速デュアル・クラッチ