大人な雰囲気に相応しいV8と8速AT レンジローバー SV P615(2) 悪路性能と操縦性はクラス屈指 落ち着きが欲しい乗り心地

公開 : 2026.09.29 18:10

一層のラグジュアリーを追求した『レンジローバー SV P615』をUK編集部が試乗します。614psを発揮するV8ツインターボの耳障り良い響きと、上質素材で満たされた内装、そしてクラス屈指の操縦性と走破性に注目です。

耳障りの良いサウンドと余裕あるパワー

レンジローバー SV P615で追求されたのは、贅沢さ。控えめで耳障りの良いサウンドと、余裕のあるパワーを生み出す4.4L V8エンジンは、見事にその目的へ合致する。骨太な8気筒の響きは、もう少しボリュームが高くても良いかもしれないが。

8速ATは変速が少しおっとり気味ながら、トルクフルなV8エンジンとの相性が良く、レンジローバーの大人な雰囲気に相応しい。シフトダウンへの積極性が高ければ、より望ましいだろう。最高出力614psの強力さを、よりダイレクトに感じたい場面もある。

レンジローバー SV P615(英国仕様)
レンジローバー SV P615(英国仕様)

ラグジュアリーな仕様でありつつ、ローンチコントロールが実装される。ATの変速も高速化し、0-97km/h加速は4.4秒。0-161km/h加速は、アウディS5より速いほど。

オールシーズン・タイヤのピレリ・スコーピオンMSの影響か、制動距離は長め。約110km/hから停止するまでに、乾燥路面で54.2mを要した。濡れた路面では、73.8mへ伸びている。通常のサマータイヤの設定は、オプションにない。

高度なシステムがサポートする悪路の走破性

そのかわり、悪路の走破性は折り紙付き。艶深い塗装と23インチ・ホイールでキメた大型SUVで、オフロードコースへ挑むには勇気が必要だが、レンジローバーなら受け止めてくれる。路面を問わず、高度なシステムがサポートしてくれる。

エアサスペンションが最低地上高を増やし、テレインレスポンスは、デフのロックを自動的に切り替える。アクセルとブレーキが自動制御され、一定の速度を保つオフロード・クルーズコントロールも備わる。

レンジローバー SV P615(英国仕様)
レンジローバー SV P615(英国仕様)

トヨタ・ランドクルーザーのシステムの方が動作は滑らかかもしれないが、過酷なテストコースを、ステアリング操作だけで苦もなくクリアできた。モニターへ走行中の水深が表示される、渡河水深センサーも備わり、うっかりの水没も予防できるだろう。

クラス屈指の操縦性でも乗り心地は期待へ届かず

オンロードでの操縦性は、同クラス屈指。連続するカーブへ高めのスピードで飛び込んでも、電圧48V制御のアクティブ・スタビライザーがボディロールを抑え、良好なグリップを活かしてすり抜けられる。

後輪操舵が備わり、リアタイヤは最大7.3度まで向きを変えるが、ステアリングの反応は自然で直感的。駐車場では驚くほど小回りが利くのに、幹線道路では安定し、そのシステムの存在を意識することは殆どない。

レンジローバー SV P615(英国仕様)
レンジローバー SV P615(英国仕様)

エアスプリングの乗り心地は、大径ホイールの影響で期待に少し届かず。減衰力が足りないのか、上下方向の動きが多めで、目立つ凹凸では振動音が耳に届く。高速道路での快適性は高いが、路面への追従性も優れるとはいえず、もう少し落ち着きは欲しい。

ダイナミック・モード時はサスペンションが引き締まり、細かな揺れも若干目立つ。悪路での能力と天秤にかけた結果だと想像できるが、ベントレー・ベンテイガへ迫る快適性にはないといえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

レンジローバー SV P615の前後関係

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