本当の本気が見たい トヨタ C-HR+(2) 普段使いなら極めて安楽 練られた運転支援に良好な電費 高負荷時の耐性は疑問

公開 : 2026.10.01 18:10

EVではチャレンジャー側のトヨタによる新型、C-HR+にUK編集部が試乗します。bZ4Xへ似たスタイリングで、車内空間はクラスでは狭い部類。安楽に運転できるものの、高負荷時の耐性に疑問が残るようです。

普段使いの限り極めて安楽に運転できる

トヨタbZ4Xと技術を共有する、バッテリーEVのC-HR+。普段使いの限り、極めて安楽に運転できる。試乗車は224psのロングレンジ仕様で、ダッシュ力はまったく不足なし。0-100km/h加速を6.6秒でこなし、161km/hにも17.6秒で届く。

アクセルとブレーキ、両ペダルの反応は滑らかで漸進的。ステアリングホイール裏のパドルで、回生ブレーキは4段階から選べる。最強にしても効きは弱いが、扱いやすい。

トヨタ C-HR+ デザイン(英国仕様)
トヨタ C-HR+ デザイン(英国仕様)

ただし、72.0kWhある駆動用バッテリーの充電量が10%を切ると、勢いは鈍る。残量7%時の0-100km/h加速は、13.4秒へ低下していた。120km/hへ加速し、一気に止まる行程を6回繰り返すブレーキテストでは、バッテリーの加熱警告が表示されてもいる。

大人5名を乗せて山間部を長距離走ったとしても、大幅なパワーダウンや、パワートレインのオーバーヒートは望まれることではない。極限的な内容のテストではあるが、シュコダ・エルロックなど、多くの競合モデルはこれまで問題なくクリアしている。

落ち着きある乗り心地でも楽しさで及ばず

ブレーキは、ABSが介入するような場面で、若干の不安定さが表れていた。制動距離は、約110km/hから停止させるフルブレーキで、乾いた路面なら48.8m。濡れた路面では59.5mへ伸びていた。エルロックより、それぞれ3.7mと10.4mも長い。

サスペンションには適度な締りがありつつ、しなやかに動き、路面の凹凸はしっかり均される。試乗車は、サイドウォールが厚めな18インチ・ホイールで、落ち着きのある乗り心地を提供していた。静寂性も高いといえる。

トヨタ C-HR+ デザイン(英国仕様)
トヨタ C-HR+ デザイン(英国仕様)

運転の楽しさは、トヨタ・ヤリスやカローラへ並ぶほどではないだろう。車重は同クラスでは軽めながら、実際はより重いエルロックほど軽快感がない。前輪駆動で、鮮明なステアリングの感触や、加速時の押し出されるような面白さも得られない。

それでも、充分にタイヤはグリップし、ステアリングの反応も正確。高負荷時には、好ましい手応えもある。もう少し、ダイレクト感が高められれば、尚良い。

練られた運転支援システムに良好な電費

運転支援システムは、充分良く練られている。アダプティブ・クルーズコントロールや車線維持支援は、印象的なほど滑らかに動作し、それ以外の機能も介入は穏やか。簡単にオフにできる設定も、評価したい。

電費は良好で、日常想定の複合条件で5.6km/kWhを超えていた。現実的に、1充電で400kmは走れるはず。急速充電は最大150kWが主張されるが、短時間ながらその数字を上回る場面もあり、こちらも優秀。充電状態を、タッチモニター上で把握しにくいが。

トヨタ C-HR+ デザイン(英国仕様)
トヨタ C-HR+ デザイン(英国仕様)

英国仕様のC-HR+は、愛知県の高岡工場から運ばれてくる。英国政府のEV補助金は、1500ポンド(約31万円)と少なめ。エントリーグレードのアイコンで、3万2995ポンド(約686万円)となる。試乗車は、3万5495ポンド(約738万円)だった。

トヨタらしく保障は充実。標準は3年ながら、正規ディーラーで整備を受けている限り、最長10年間か16万kmまで延長される。駆動用バッテリーも対象なのがうれしい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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