フォード・クーガ・ヴィニャーレ

公開 : 2016.11.18 05:40  更新 : 2017.05.29 18:53

 
それでも、希有なまでに強烈な力強さが得られるなら、追加料金を払う価値はある。引き締まっていながらも従順な走り、ダイレクトで素早い方向転換のレスポンス、強力なボディ・コントロールや優れたグリップ。魅力的なダイナミズムをもたらすこれらの要素は、インチアップの恩恵だ。

それに対して、180psの2.0ディーゼルは回すほどにノイジーで、とてもプレミアム・モデルのエンジンとは呼べない。DCTは、飛ばさなければ良好なのだが、ペースを上げると作動がぎこちなく、キックダウンも遅い。

加速フィールは力強いが、0-100km/h加速で競合するドイツ勢より2秒以上速いと言われて期待したほどの驚きはない。さらに、パッケージングや使われる素材の品質、インフォテイメント系の洗練度など、真のプレミアム・ブランドに及ばない点が多々ある。

たしかに革張りのフロント・シートは快適で、手触りも上々だ。ところが、リア・シートへ移るとクッションの薄さを知ることになる。

スペースは、どちらもそれほど広くはない。レザーシート以外にも、キャビンに華を添えるデコレーションは施されているのだが、硬いプラスティックの鈍いモールドや、薄っぺらいトリムが目に入ってしまえば、高級感は台無しだ。

300万円のクルマなら許せても、450万円払ったなら我慢ならないと思うのは、それほど狭い了見でもあるまい。

フォードの最新インフォテイメント・システムであるSYNC3は、以前より改善された。ナビゲーションシステムは、これまでより使いやすいスケールのマップを8インチのディスプレイに投影するし、iPhoneにもAndroidにも対応する待望のミラーリング機能も加わった。

しかしタッチスクリーンのピンチやスワイプへの反応は相変わらず渋い。オンライン接続機能も不十分だ。これだけでも満足いくデバイスとなれば、プレミアム・ブランドへの道は近くなるだろうに。

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