■「買い」か?

トゥインゴのゼン5MTは欧州の安グルマをできるだけ地場に近い仕様で乗りたい……という一部マニアの気持ちを汲み取ったルノー・ジャポンらしい商品だ。ゼンであれば日本人でも納得できるだけの充実装備であり、価格もきっちり2ペダルより安い。

ただ、今回あらためて思ったのは、純粋なハードウェアのマッチングでいえば、DCTは自然吸気との組み合わせがベターではないか……ということだ。

ルノーの0.9ℓターボは古典的な間接噴射エンジンで、意外にピーキー。低速が細く、3000〜4000rpmからグイッと過給が立ち上がる。こうした特性には本来、キレのいい(=融通が利きにくい)DCTは好適とはいえない。トゥインゴの2ペダルは実際にギクシャクするシーンも少なくなく、基本的に同じパワートレインを使うスマートのほうが変速の仕立てもうまいが、それでも完璧とはいいづらい。

個人的には穏やかな1.0ℓこそDCTとの組み合わせでもアラが出にくく、ピーキーな0.9ℓターボはMTでこそ利点が活きると思う。しかし、残念ながら、2ペダルと1.0ℓを組み合わせたトゥインゴは、現時点で本国にも存在しない。スマートにはあるんだが……。

ルノー・トゥインゴ・ゼン

価格	1,710,000円
全長×全幅×全高	3620×1650×1545mm
ホイールベース	2490mm
乾燥重量	960kg
エンジン	直列3気筒998cc
最高出力	71ps/6000rpm
最大トルク	9.3kg-m/2850rpm
ギアボックス	5速マニュアル
サスペンション	マクファーソン / トレーリング・アーム
ブレーキ	ベンチレーテッド・ディスク / ドラム
ホイール+タイヤ	5.0J x 15 + 165/65R15 / 5.5J x 15 + 165/60R15