アストン マーティンV8ヴァンテージ 300台限定「AMR」試乗記 

公開 : 2017.09.01 11:50  更新 : 2017.09.01 12:44

V8 パワー勝負とは異なる「傑作」

アストン マーティンのエンジニアが約10年間をかけてヴァンテージの乗り心地やハンドリングの改善に努めてきたことを考えれば、ワインディングを爽快に飛ばせる仕上がりとなっていても不思議ではない。

落ち着きと俊敏さを兼ね備えており、フロントタイヤは路面を掴み、強力なグリップでコーナーを抜けていく。

リアタイヤ側は姿勢を整えるのにコンマ何秒か遅れる印象があるが、完全にバランスされたものだ。コーナーで突然に片側のタイヤだけがバンプを拾ったとしても上手く処理され、クルマの挙動には余裕が感じられる。

すべてが良く調和している印象だ。

低速域ではヴァンテージは全体的に重たく感じられるのだが、高速域になると繊細で素早い応答性に大きく変化する。

ただし、決して驚くほど速いというわけではない。

実際、とても良い感触でコーナーを脱出していくことは可能なのだが、4700ccV型8気筒エンジンの最高出力は436psあるとはいえ、比較的ワイドレシオなギア比設定のため、背中を押し付けられるような加速とはならないのだ。

最大トルクも、リアタイアを自在に振り回せる程ではない。もし強力な直線加速を欲するならば、V型12気筒エンジンが必要となる。しかし、V型8気筒モデルのハンドリングは十分魅力的で正確性も高い。

雷のような強烈さは無いものの、V型8気筒エンジンも素晴らしい特徴をもっており、過度に作りすぎていないエグゾーストノートも感情に響く刺激的なもの。

6速マニュアルトランスミッションも、ていねいな操作が求められるメカニカルゲートは納まりがよく、とても良い組み合わせだとおもった。

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