クラシック・ポルシェ911のエンジンを最大1万2000rpmのモンスターへ 4バルブに改造する英国製キット

公開 : 2026.07.01 07:05

スウィンドン・パワートレイン社が生産する4バルブシリンダーヘッドは、クラシックなポルシェ911(964、993)向けの改造キットとしてエンジンの高出力、高回転化を実現します。最近、100台目の出荷を達成したそうです。

高出力、高回転化を実現

2023年、英国のスウィンドン・パワートレイン社は、ポルシェ『911』の964型および993型のM64エンジンに対応する4バルブのシリンダーヘッドキットを発表した。そして同社は最近、100台目のキットを出荷するという節目を迎えた。

このキットは専門のエンジンビルダーによる使用を想定しており、高出力と高回転に耐えられるよう、エンジンの他の部分も改造する必要がある。

スウィンドン・パワートレイン社のシリンダーヘッド
スウィンドン・パワートレイン社のシリンダーヘッド    スウィンドン・パワートレイン

オリジナルのM64エンジンは1気筒あたり2バルブだが、新しいヘッドは吸排気効率を高め、993型のレッドラインを6900rpmから最大1万2000rpmまで引き上げることができる。

英国グロスターを拠点とする改造・レストア専門のソーンリー・ケルハム社は、このキットを限定生産モデル『911ヨーロピアンRS』に採用している。同モデルはわずか15台のみが生産され、2種類のエンジンから選択可能だ。1つ目は標準の3.6Lエンジンで、最高出力385ps以上、最大トルク40kg-mを発生し、最高回転数は1万rpmに達する。もう1つは4.0Lで、430psと45kg-mを発生し、最高回転数は9000rpmとやや低めに設定されている。

意外にも歴史ある4バルブ

1気筒あたり4バルブのエンジンの歴史は20世紀初頭に遡り、1910年のベンツ21/80hpがその初期の例の1つである。第二次世界大戦中のロールス・ロイス・マーリン航空機用エンジンにも採用され、1970年にはフォードラリーホモロゲーションモデルであるエスコートRS 1600の16バルブBDAエンジンで話題を呼んだ。

1973年に登場したトライアンフ・ドロマイト・スプリントの2.0L 4バルブユニットは、最初期の量産4気筒マルチバルブエンジンの1つとして認められている。

ポルシェ911(993型)
ポルシェ911(993型)

したがって、4バルブヘッド自体は新しい技術ではないものの、ポルシェは空冷エンジンにはこれを採用しなかった(1970年代の空冷レーシングカー『935』や1980年代の『959』に搭載された、水冷式の4バルブヘッドを除く)。

マルチバルブヘッドは、シリンダー内に取り入れる空気の両を増やし、それに比例してより多くの燃料を燃焼させ、ひいてはより多くのエネルギーを生み出すという仕組みである。2バルブの4ストロークエンジンでは、1気筒ごとに吸気バルブが1個と、それよりも小さい排気バルブが1個ずつある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェシ・クロス

    Jesse Crosse

    役職:技術編集者
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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