フォーミュラEは、なぜすごいのか ふたつの魅力 一方で課題も

公開 : 2017.12.16 11:40  更新 : 2018.01.05 19:19

フォーミュラE ふたつの魅力

自動車メーカーにとってフォーミュラEの最大の魅力は何と言っても電化という点である。シリーズはEVの性能について学ぶ場でもあるし、披露する場にもなる。

従来のモータースポーツにおける市販車への技術移転はかなり限られているが、フォーミュラEではレースの現場で得た技術的フィードバックを市販車の開発に活かせる。メーカーはバッテリー技術、温度管理や寿命の維持といった課題を把握し、取り組むことができる。

フォーミュラEのもうひとつの魅力は、明確な成長計画があること、そして電気自動車のレーシング技術が発展するにつれてパワートレインの方も着実に開発が進むという技術ロードマップがあることだ。

フォーミュラEの初年度はワンメイク・レースとして開催されたが、徐々にパワートレインやバッテリー製造が認められてきた。2018〜2019シーズンからは大きなレギュレーション変更が予定されており、現行の28kWhではなく54kWhのバッテリーが全チームに供給される。

よって、ドライバーは現在のようにレース中にフル充電されたマシンに乗り換える必要がなく、1台のマシンで完走できるようになる。

テクニカル・ルールの枠組みのおかげで、メーカーは公平な条件で戦えている。さらに、かかるコストが比較的安いというのも重要だ。現在、1シーズンにかかる費用は、F1はもとより、ル・マンの予算よりもはるかに少ない。

そして、運営機関が全体の収入を一手に引き受け、成績等の規定に応じて各チームにそれを分配するフランチャイズ・システムが採用される。これによりメーカーの参加率は加速しており、レース以前に、参入するための席争いが繰り広げられている。

フォーミュラEはモータースポーツの運営機関である国際自動車連盟からの強力なサポートを受けているし、従来のレーシング・カーによるレースは騒音問題があるので嫌煙してきた市街地コースが、静かなEVなら、と多数立候補していて恵まれた状況にある。

ここまでをまとめると、各自動車メーカーは注目が集まるエコなチャンピオンシップに比較的低いコストで参加でき、レースでは最先端の技術を紹介し、フィードバックを市販車の開発に活用できる。他のモータースポーツ・カテゴリーに比べてフォーミュラEがいかに安く済むかを考えると、かなりお得だと言える。

一方で、確かに魅力はあるものの、果たして今後も持続的に成長できるのか、そしてこれまでレース経験のないメーカーの参入がフォーミュラEに悪影響をもたらすのではないか、といった懸念がある。

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