フォーミュラEは、なぜすごいのか ふたつの魅力 一方で課題も

公開 : 2017.12.16 11:40  更新 : 2021.07.12 18:38

突きつけられている最大の課題

メーカー同士の競争はたいていサーキット内外のマーケティングとホスピタリティのコスト上昇を招く。結局のところモータースポーツはマーケティング活動が物を言い、最大の利益を享受できるのはレースで優勝したメーカーか、参戦していることを利用して宣伝効果を得ているメーカーのどちらかである。

ただ、レースに魅了されて参加するすべての自動車メーカーが優勝できるわけではない。過去のモータースポーツの歴史を簡単に振り返っても、数々の好況と不況の波があったことが思い出されるだろう。

シリーズに自動車メーカーが群がり、持続可能な額を超えるまでコストを引き上げ、投資を回収できないとなると撤退する、ということの繰り返しだった。

フォーミュラEがそのような事態を回避できるかどうかは、シリーズのトップが全メーカーに対して、ライバルより多くの金を費やしたとしてもレースで成功を収められるわけではないことを保証できるかどうかにかかっている。

さらに、各メーカーにレース以外の部分でも散財しないよう約束させる必要がある。それは、たとえ制限が設けられていたとしても、メーカーとは何かしらにお金を使ってしまうことが多いから。

とは言え、フォーミュラEの最大の課題は、メーカーの関心が急激に高まっているのに比べてまだひとびとの興味がそんなに高くないことかもしれない。レースは観客で埋まってはいるが、それは真新しいもの見たさやロケーションが良いということに起因しているかもしれない。テレビでの視聴率は好調だけれど、ずば抜けて高いというほどでもない。

フォーミュラEはまだとても若いチャンピオンシップなので、伝統とアイデンティティーを築くには時間がかかるだろう。メーカーとっては電気技術を試す場であることは明らかだが、EVレースの真新しさがなくなった時、ひとびとの興味を引くセールス・ポイントとは何だろうか。

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