メルセデス・ベンツSL63 AMG vs ジャガーXKRコンバーチブル 回顧録

2018.02.08

減ったトルク、増えたギア

もちろん中身も大きく変わった。最大のトピックはエンジンだ。新たに搭載されたAMG製6.2ℓV8は、従来のスーパーチャージド5.5ℓV8より優秀な資質をいくつも備えている。具体的には517psから525psへと若干のパワーアップを果たし、より経済的になり、排ガスもクリーンになった。だがその反面、失われたものもある。バックミラーに写る景色がぼやけてしまうほどの暴力的な加速を生み出す低速トルクだ。
 


 
これに伴いギアボックスも新しくなった。一気に5段から7段になり、これに湿式多板クラッチを組み合わせ、トルコンによる緩慢なシフトとパワーロスを改善した新開発のAMGスピードシフトMCTを採用したのだ。SL55AMGは73.4kg-mという強大なトルクを2600rpmという低回転で発生していたのに対して、SL63AMGではその倍まで回しても64.2kg-mしか出ない。変速機のアップグレードは効果的ではあろう。
 

 
わたしは少なくともコンセプト的にはジャガーXKRの考え方のほうをより支持していた。その4.2ℓV8は、SL AMGが失ったスーパーチャージャーと低速から盛り上がるトルク特性を備えており、426psのパワーはAMGのそれと比べれば見劣りするものの、オールアルミ構造のXKRの車重は1780kgに抑えられている。メタルルーフを持つメルセデスは2t近いから、両者のパワーウエイトレシオ、トルクウエイトレシオの差は意外と小さいのだ。
 
そして価格の問題がある。1450万円のジャガーXKRは、AMGではないスタンダードのSL550(1523万円)よりも安く、今回テストした邦貨換算約2000万円(日本導入は夏頃の予定)のSL63AMGに比べれば500万円以上も安く手に入る。

 
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