オペル/ヴォグゾール、17年間で2兆円の損失 親会社PSAどうする?

公開 : 2018.06.17 18:10

今世紀に入ってから通期利益を出したことがないオペルとヴォグゾールの新たな親会社となったPSAグループが、その収益改善の方針を示しました。PSAも一時は倒産寸前に陥りましたが、今では同グループのプジョーは自動車業界でも屈指の利益率を誇ります。

もくじ

オペル/ヴォグゾールの新たな親会社
製品整理でコスト削減
高い利益率を誇るプジョー
改善点はかならずある

オペルヴォグゾールの新たな親会社

今世紀に入ってから通期利益を計上していないオペルとヴォグゾールは、これまでの17年間で約150億ポンド(2兆円)の損失を出している。どうみても破滅的失敗であるが、新しく親会社となったPSAグループが打ち出した再生計画がいかに壮大なものとなるかがよくわかる。

「Pace」と名付けられた戦略により、2020年までに2%、2026年までに6%の営業利益率を目指す。後者の数値は、現在のPSAグループの利益率とほぼ同じである。

8月でPSAが親会社になってから1年になることと、壮大な利益目標が下限ラインとして定められたことから、現在のコスト削減を継続しつつ、オペルとヴォグゾールは巻き返しの目標を設定し、体制を整えて新車の発売にこぎつけることが期待される。

しかし、PSAのCEOであるカルロス・タバレスが「効率というのは企業規模によって決まるものではありません。効率を追求する当社はあらゆる方策を試すつもりです」と述べるように、売上が増加してもコスト削減の手を緩めるわけではないようだ。

一方で、エレスメア・ポート工場における650人の失業など、コスト削減に伴う実態も報告されている。従業員たちは、親会社がGMだった頃と比べて、意思決定プロセスのスピードに畏怖の念を抱いている。関係者曰く「合理的なプランを見せられると、タバレスは必ず『いつからできる?』あるいは『なぜ今までやらなかったのか?』のいずれかの質問を投げかけてきます。常に難しい決断が下されているのです」

関連テーマ

おすすめ記事