「昭和世代の魅力」を再発見 トヨタ・セリカ フォード・カプリ ヴォグゾール・フィレンザ(2)
公開 : 2025.10.25 17:50
クーペが人気だった時代へ合致した3台 だいぶ違う所有体験や運転体験 アメリカンな姿のセリカ 落ち着いた走りのカプリ 235台しか売れなかったHPフィレンザ UK編集部が魅力を再確認
もくじ
ー低域で力強いエンジン 落ち着いた走り
ーライバル凌駕の出力 特徴的なスラントノーズ
ー235台しか売れなかった高性能仕様
ークラシックスポーツとして1番魅力的なのは?
ー1970年代のコンパクトクーペ 3台のスペック
低域で力強いエンジン 落ち着いた走り
ブラウンのフォード・カプリ MkIIは、1977年式の2.0S。20年ほど保管されていた車両を、2019年にピーター・トッド氏が購入し、完璧な状態へレストアしている。限定のJPS仕様を模した、ゴールドのストライプが積極的な走りを想像させる。
運転姿勢は、初代トヨタ・セリカと同様に違和感なし。ステアリングホイールのボスには、クロスしたチェッカーフラッグがあしらわれる。内装は落ち着いた印象だが、ストライプのクロスがスポーティ。リアシートは分割して倒せ、長い荷物も積める。

発進させると、車重80kgの差以上に、セリカより落ち着いた印象。13インチのピレリ・タイヤが不足ないグリップ力を発揮するものの、リアアクスルは早々に流れ出す。4速MTは滑らかに操れるとはいえ、余り積極的な走りは受け付けない。
エンジンは低域で力強いが、高域へ引っ張ると、農業用エンジンのような耳につくノイズが高まる。15.5kg-m/4200rpmのトルクを、活用して走らせた方が楽しい。長めのボンネットを眺めつつ、早めにシフトアップすれば、長距離も快適にこなせるはず。
ライバル凌駕の出力 特徴的なスラントノーズ
そんなカプリ MkIIへ真っ向勝負を挑んだのが、サルーンのビバ HCをベースにしたヴォグゾール HPフィレンザ。HPとはハイパフォーマンスの略で、同社がモータースポーツへ復帰するきっかけにもなった。
エンジンはSOHCの2.3L 4気筒で、ストロンバーグ社製ツインキャブレターと職人が加工した燃焼室を備え、132psの最高出力はライバルを凌駕。トランスミッションは5速で、リジットアクスルを支えるリア・サスペンションは4リンク式が採用された。

スポーティな仕様として、HPのダンパーとスプリングは強化され、ブレーキも大型化。0-97km/h加速は9.4秒と10秒を切り、最高速度は193km/hがうたわれた。
見た目の特徴となるのが、ドループスヌートと呼ばれたスラントノーズだろう。4灯のヘッドライトをFRP製ノーズコーンが覆い、優れた空力特性が狙われた。同時に、記憶へ残る表情が生まれた。
235台しか売れなかった高性能仕様
しかしオイルショックが影響し、HPフィレンザの販売は低調に終わった。目標は1000台だったが、試作車の14台を含めて235台しかラインオフしていない。50〜60台といわれる現存例の1台を所有するのが、クライヴ・キャノン氏だ。
1975年式で、彼が購入して15年が経つという。その間に、キャブレターはウェーバーへ交換。ハイカムが組まれた、ワークス仕様のエンジンになっている。

スタイリングは、フロント以外は曲線基調で、サイドガラスのラインは優雅に映る。ビバ HCがベースなことも匂わせる。一方、ゴールドのエイボン・ホイールとドループスヌート・ノーズが、好戦的な印象も与える。
ダッシュボードのデザインはシンプルで、今回の3台で最も現代的。全体的に製造品質が高くなく、ブラック・ビニールの面積が多いことも、その理由かもしれない。5速MTは、1速が斜め上に飛び出たドッグレッグ・パターンだ。






























































































