英国の燃料税制 EV登場で崩壊の危機 「ロードプライシング」が肝要

公開 : 2018.10.29 11:40

適正な制度はユーザーにも利点あり

ロードプライシングとなれば話は違ってくる。「走行距離は車検のために記録されていますから、導入は合理的です」と語るのは、充電関連企業のチャージマスターで戦略担当マネージャーを務めるトム・キャロウだ。それならば、燃料税と同じ原理が導入できる。走行距離が少なければ課税額も低い、といった具合だ。問題は、驚くほど人気がないということ。燃料税も十分すぎるほど評判が悪かったが、これは2011年以来、1ℓあたり57.95ペンスで固定され、さらに課税前の価格と燃料税そのものの双方に付加価値税が課されるのも理由のひとつだ。保守党は、デイヴィッド・キャメロンのもとで道路課金が検討されたが、運転者たちの大反対で廃案になった。現在、政府はその再検討以外に策がないのだが、キングはもっとスマートなアプローチが必要だと説明する。「ロードプライシングは、クルマにおける人頭税のようなものです。導入は、政治的には自殺行為です」

キングと彼の妻であるエコノミストのディアドラ・キングは、ロード・マイルズと銘打った提案で昨年、栄誉あるウォルフソン経済賞の候補入りを果たした。キング案の本質的な点は、年間3000マイル(約4800km)までは無料で、それを超えたら課金するということ。地方在住者やEVのような低公害車のドライバーは、もっと長距離にわたり課金を免除される。また、導入はいきなりではなく、徐々に、燃料税の廃止と合わせて行われる想定だ。キング案にしろ、他のアイデアが導入されるにしろ、クルマには走行距離の計測デバイスが装着されるだろう。

ロードプライシングへの毛嫌いを克服できない人は多いだろうが、EVの割合がもっと増えれば、それこそがもっとも負担の大きな自動車関連税を回避する最善策だと思えるようになるだろう。

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