創業者を超えた在職期間 ランボルギーニを変革したステファン・ヴィンケルマンCEO:イシゴニス賞(前編) #AUTOCARアワード2026

公開 : 2026.07.01 18:05

ランボルギーニのトップを長年務めているステファン・ヴィンケルマン氏は、困難な時代の中にあっても安定した経営を貫いてきました。そのリーダーシップが評価され、AUTOCARアワードでイシゴニス賞を受賞しました。

15年間にわたるトップの貢献

ステファン・ヴィンケルマン氏は過去20年のうち、15年間、2度にわたってアウトモービリ・ランボルギーニの舵取りを担ってきた。これは、創業者フェルッチオ・ランボルギーニ氏自身が同社を率いた期間よりも長い。

彼が社長兼CEOに就任した2005年、ランボルギーニの年間販売台数は1600台だった。それが昨年には1万700台を突破し、近年の世界的な課題の影響を免れてはいないものの、依然としてフォルクスワーゲン・グループにとって大きな利益源であり続けている。

ランボルギーニのステファン・ヴィンケルマンCEO
ランボルギーニのステファン・ヴィンケルマンCEO

この目覚ましい成長だけでも、ヴィンケルマン氏は今回の「イシゴニス賞」にふさわしい人物と言えるだろう。この賞はミニの発明者であるサー・アレック・イシゴニス氏にちなんだもので、毎年AUTOCAR UK編集部によって、卓越した成功を収めた個人に贈られる。

ヴィンケルマン氏の指揮下におけるランボルギーニの変革は、それだけにとどまらない。浮き沈みが激しく、時に困難に満ちた歴史を持つこのメーカーに、安定性と明確なビジョンをもたらしたのだ。

彼は新市場の開拓につながる新製品の投入を推進し、ランボルギーニのサンタガータ工場を近代的な生産拠点へと変貌させ、スーパーカーを電動化時代へ導いた。そして、ワイルドで、贅沢で、時に愉快なほど型破りな高性能車メーカーとしてのランボルギーニの精神を守りつつ、これらすべてを成し遂げたのだ。

困難を乗り越え成長路線へ

ヴィンケルマン氏は、入社当初のランボルギーニは「準備万端」の状態だったと語る。

「わたしが着任した時、ガヤルドムルシエラゴはライフサイクルのほぼ初期段階にありました。しかし、活用すべき要素は多く、多くのチャンスがありました」

ランボルギーニ・ムルシエラゴ
ランボルギーニ・ムルシエラゴ

チャンスがあったのは明らかだが、ヴィンケルマン氏がそれらを確実に実現できる保証はなかった。何しろ、ランボルギーニの潜在能力は以前から明白だった。だからこそ、度重なる経営難に見舞われ、1998年にフォルクスワーゲン・グループが買収する以前にも、クライスラーをはじめとする数多くの投資家やオーナーを引きつけてきたのだ。そして、初期の成果は芳しくなかった。

「最初の在任期間の初期には、あの大きな(2008年の)金融危機がありました」とヴィンケルマン氏は振り返る。

2008年までに年間販売台数を2400台まで伸ばしていたが、その2年後にはわずか1300台にまで落ち込んだ。しかしヴィンケルマン氏は、そうした苦境こそが「成功のために最も重要な課題に取り組む好機でした」と述べている。

当初は「ブランドとクルマの品質」に重点を置き、その後「派生モデルの構想」へと移した。その時点ですでに「第3のモデルラインを追加したいという願望と意志」はあり、それが現在大成功を収めているSUV『ウルス』である。同社の年間販売台数の半分以上を占めるこのモデルは、ランボルギーニの変革の鍵となった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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