回顧録 フェラーリ3台比較試乗 進化の足跡と最新モデルの実力 前編

公開 : 2019.01.22 10:40  更新 : 2019.01.24 11:39

現代でも一級品の動力性能

正直にいうと、F40はほかよりもかなり扱いにくいクルマだし、少なくとも最初のうちは誰でも多少は手間取るはずだ。しかし、ある程度慣れてくればスムーズに操作できるようになり、そうなってしまえばあとは正しくスロットルを開くだけの余裕と勇気さえ出てくれば、もう次の段階に進む準備は完了だ。

何しろF40を本気で加速させたら、車内の空間を除いた世界のそのほかの部分は一瞬のうちに逆方向に走り去ってしまう。もしもそれを受け入れる準備に手間取るようでは、走り始めてすぐに何がどう間違っているのかが理解できない苦悩を抱え込んでしまう羽目になる。そういう人には、このクルマを選んだのが間違いだったのだとご理解いただきたい。

F40を扱ううえで決して忘れてはならないのが、わずか1230kgしかない車重だ。おかげで現代の水準に照らしてみても直線での基本的な動力性能にかけては完璧であり、まったく驚異的というほかない。

それもそのはず、F40の馬力荷重比は389ps/tと、458の361ps/tを軽く上回っているのだ。それに加えてトルクは58.9kgmを誇り、絶対的数値で458の55.1kgmを圧倒している。23年前のクルマにもかかわらず、F40は絶対的加速力で458に勝っているのである。

後編につづく

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